眼鏡堂書店

積み上げられた未読本の消化と、ホラー映画100本ノックを目指すブログ。不定期更新のゆるゆるです。

魔界転生/山田風太郎

今回取り上げるのは、皆さんお楽しみ!

山田風太郎の代表作、『魔界転生』です!

 

秘術によって再び現世へ蘇った魔界衆と、柳生十兵衛との死闘を描いた伝奇時代小説で、81年の深作版、03年の窪塚版と2度も映画化されるなど、山田風太郎作品の中では一般的な認知度が最も高い作品といえると思います。

が。

半面、作品自体が非常に外連味たっぷりなことに加え、過去の実写作品が実はこの原作をあまり踏襲していないため、余計に荒唐無稽な色物小説ととらえられているのもまた、一般的な見解ではなかろうかと。

 

眼鏡堂は言いたい。

傑作の誉れも高い81年の深作版の映画よりも、原作のほうが控えめに言っても数百倍面白いのです!(断言)

何が面白いのかというと、十兵衛VS魔界衆という見どころシーン。

ざっと登場する魔界衆を比較すると…(★はオリジナルキャラクター)

【深作版】 

天草四郎

・宝蔵院胤瞬

宮本武蔵

細川ガラシャ

伊賀の影丸

柳生宗矩

【窪塚版】

天草四郎

・宝蔵院胤瞬

宮本武蔵

柳生宗矩

・荒木又右エ門

徳川家康

まあ、こんな具合。改めて列記してみると、2時間くらいの尺に収めるためか、両方ともオリジナル込みの6人編成なのね。ほうほう。

では、原作はどうかというと…。

【原作版】

・田宮坊太郎

天草四郎

・宝蔵院胤瞬

宮本武蔵

柳生宗矩

・柳生如雲斎

・荒木又右エ門

人数的には一人分、原作のほうが多い。ただ、このラインナップは原作が出版&連載されてた時分、時代小説の人気キャラクターだった面々。この辺が山田風太郎のサービス精神というか、ほとんど二次創作の次元。

「アレとコレが闘ったらどうだろう?」というワクワクの組み合わせは、のちの小説はもちろん、『フェイト』を代表とするゲームに多大な影響を与えました。

 

合わせて、紀州藩と江戸徳川家、十兵衛と宗矩、宗矩と如雲斎、武蔵と宗矩、十兵衛と又右エ門などなど。それぞれのキャラクター同士の相克というか関係性がきちんと紡がれていて、ただただVS魔界衆が繰り返されるわけではありません。……どっちの映画版もこのあたりが甘いんだよねえ。

んでもって、映画だけ見てる人ほど原作を読んでほしい理由が、天草四郎宮本武蔵

どちらの映画でもラスボス扱いの天草四郎。でも原作ではラスボスどころかしがない中間管理職。魔界衆を集めて引率するのが主な仕事で戦闘のほうはちょっとねえ……。

とはいえ、物語の前半戦、その中心を担うのが天草四郎

そしてなにより驚くのが宮本武蔵。原作では彼がラスボス。しかも、その最終戦は完全に吉川英治の『宮本武蔵』における巌流島の決闘へのオマージュ。そのうえ、戦国の気風を持ち続ける剣豪のしたたかさに、ちょっと面食らうくらいびっくり。

 

そういったところも踏まえて、映画しか知らない人ほど原作を読んでもらいたいな、と思いました。以上、おわり。