眼鏡堂書店

積み上げられた未読本の消化と、ホラー映画100本ノックを目指すブログ。不定期更新のゆるゆるです。

デスレース2050

 

 今回取り上げるのは、皆さんお楽しみ!

往年のB級映画の傑作『デスレース2000年』のリブート作、『デスレース2050』です!

 

デスレースと言えば、人をひき殺しながらゴールを目指すレース映画として頭のおかしい輩少々残念な人々に深く愛された傑作です。

ちなみに、21世紀に入り『デスレース』というタイトルでダメな方のポール・アンダーソン監督*1によって3部作が作られましたが、アレはなかったことになっています(←ココ重要)

 

この『デスレース2050』の何が素晴らしいかというと、元の『デスレース2000年』のテイストが全く損なわれないまま、21世紀に相応しい映画としてリブートされているところ。

なにしろ、元の『デスレース2000年』のプロデューサーであるロジャー・コーマン(御年90歳)が自ら手掛けた作品ということで、最初から気合の入り方が違います。

過去の『画用紙に色鉛筆で書かれたタイトルクレジット』や『明らかに書き割りの未来都市の風景』、『ウルトラ勉強のできない小学生男子がデザインしたとしか思えない気の狂った車の数々』などが、最新のCG技術と厨二的な発想力によってビルドアップ。

見ていて脳細胞が加速度的に死滅していくのが実感できる超絶に頭の悪い映画格調高く趣深い世紀の傑作映画として爆誕しました。

シリーズ中最もバカっぽいといわれた『ワイルドスピード3』ですら、本作の前では『愛と青春の旅立ち』のような文芸映画に見えてきます。

 

何が素晴らしいって、ロジャー・コーマン師匠の精神がいささかもブレていないところ。

人をひき殺せばポイントが加算されるという鬼畜ルールは健在。そのうえ、近未来の話なので最先端技術であるVR仕様が登場*2するなど、コーマン師匠のアンテナの張り巡らせ方がさえわたります。同時に、過去作がそうであったようにエロ、グロ、爆破にカーチェイスが不必要にてんこ盛り。しかも、エロにはゲスも加味されるという非の打ちどころのないサービス精神。*3

とはいいながらも、体制への反逆精神で有名なコーマン師匠なだけに、今回槍玉に挙げられているのは当然ドナルド・トランプとその周辺。

アメリカ第一主義を掲げて大企業による独裁国家になって、国民が骨抜きにされて堕落している世界が舞台。そんなアメリカの支配者を演じるのがマルコム・マクダウェルなのですが、その髪形や言動が完全にドナルドトランプ(笑)。しかも「髪形が変だ」という感じで結構イジるという(笑)。

 

素敵滅法界極まりない映画なのですが異性と見るにはあまりにも不向きなので、一人でコッソリみるといいと思いますが、とにかくロジャー・コーマン師匠が健在なのが眼鏡堂は大変うれしいです。

コーマン師匠と言えば、「常に弱者の立場に立て。それが映画の仕事なんだ」*4という熱い言葉でおなじみの、反権力の人。だからトランプの横暴さが許せないのだろうな、と。でも、それを真面目な政治行動ではなく、こーいうB級映画でもって揶揄してみせるのが師匠らしい。要するに照れ隠しですね。

映画自体とは関係ないけど、そんな師匠の薫陶を守り続けた弟子、ジョナサン・デミ監督*5も先ごろお亡くなりになってしまい、師匠の心中を慮るとこんなバカ映画でもほろっと来る瞬間がありました。

 

「権力者に言われるままの人生でお前は本当に満足なのか?人生のレースの主役は自分自身だ。さっさと立ち上がってアクセルを全力で踏みやがれ!」

という熱いメッセージが込められている映画なんだけど、伝わってこないよね(笑)

もちろん、いい意味で。

 

……なんか、ストーリーとか見どころとかさっぱり書いてないような気がしますが、そういうのが知りたかったら、DVDをさくっと買えばいいと思います。以上おわり。

*1:ミラ・ジョヴォビッチの旦那であるポール・WS・アンダーソン監督のこと。ちなみにデキるほうのポール・アンダーソンは、天才として知られるポール・トーマス・アンダーソン監督のこと。

*2:そのVRメガネが明らかに水泳のゴーグルという安上がりなところが1週回って感動します。

*3:AIで動く車に搭載されているある機能があまりにもアレな感じなので、さすがに記述するのもためらわれます。

*4:町山智浩の映画塾『侵入者 復習編』より

*5:代表作は『羊たちの沈黙』。自作にほぼ必ずコーマン師匠を出演させることで有名。