眼鏡堂書店

積み上げられた未読本の消化と、ホラー映画100本ノックを目指すブログ。不定期更新のゆるゆるです。

ルーズ戦記 オールドボーイ/原作・土屋ガロン 作画・嶺岸信明

 原作者の土屋ガロンさんが先ごろお亡くなりになられたということで、追悼の意味で本作を。

 

突如として10年間監禁された男が「自分はなぜ監禁されたのか?その理由は?」を探るサスペンスミステリ。過去2回映画化されており、1度目は鬼才パク・チャヌクが、2回目はスパイク・リーがそれぞれ監督したことでも知られています。

 

というわけでオールドボーイですが、映画のイメージで本作を読むと、いろんな意味でびっくりします。まあ、スパイク・リー版の映画は明らかにパク・チャヌク版を下敷きにしているからいいとして、そのもとになったパク・チャヌク版とは似ても似つかない有様。

いい意味で地味なストーリー運びになっていて、それが逆に主人公の追いつめられる閉塞感を表しているようで眼鏡堂は映画よりもこっちの方が好きだったりします。

マンガの巻数として8巻は少ないと思われるのですが、その割にすごく重厚かつ濃密なので追悼の意味で一気読みしたものの、(あんまり普段からマンガを読まないからか)頭がくらくらしてきました。

映画では真相に至るまでの期間が最初に定められるわけですが、漫画版では中盤過ぎにならないとそれが定められません。だからと言ってだらだらと続くのかというと、その期間がない中で「誰が俺を監禁したのか?そして、その理由は?」ともがく主人公の焦りや歯がゆさ。それが作品の内容とマッチしていて作品に引き込まれていきました。

そのなかでいちばんの存在感はこの事件の黒幕である堂島。

黒幕なので最後の最後と思いきや結構早い段階で主人公の前に登場するとはいえ、主人公は自分と堂島との接点がまったくつかめないまま、一方的に10年も監禁するような恨みを抱いていた、と、これまた一方的に告白されます。

「その理由は何か」というのが本作最大の謎解き。

 

んで。

 

本作のキーワードになるのが、この曲。


花の街 東京多摩少年少女合唱団2015.05

 

眼鏡堂は音痴なので中学校の時の歌のテストは未だにトラウマなのです(泣)

ちなみに、カラオケとか大嫌いです。(というか、自分の声を聴くのがイヤ)

 

そういうわけで、歌いたくもないのに歌わされ(下手なのを十分に自覚してるのに)、かまってほしくないと思っていてそれを態度に出しているのに、接点のないクラスメイトが自分の歌声に勝手に感動して涙なんて流された日には、そりゃあ3億払ってでも監禁して人生を破滅させてやろうやないけ!と思うのも理解できなくはないな、と思いました。(←ネタバレしないように努力したつもりです)

 

どうしても映画版との比較になってしまうけど、最後の最後でのストーリーの救いのなさは原作がずば抜けているような気がしました。堂島が人生をかけた復讐劇は主人公がどんな状況にあっても終わることなく続く、ということをさらっと提示してくるところがドスッときます。

 

正直、掲載紙が漫画アクションで、なおかつ絵柄が絵柄だけに女子の皆さんにはあんまりアピールしないですが、なかなかの傑作なのでぜひ手に取ってほしいと思ったところ。

あと、新宿ゴールデン街の雑多な雰囲気とか、大都市の光の当たらない場所(日雇い労働者のタコ部屋とか、場末の中華料理屋とか銭湯とか)が異常に魅力的に見えるところとか、このマンガは相当にヤバイな、と思いました。以上おわり。

 

【追記】

パク・チャヌク版の感想はコチラから。

megane-do.hatenablog.com