眼鏡堂書店

積み上げられた未読本の消化と、ホラー映画100本ノックを目指すブログ。不定期更新のゆるゆるです。

山賊ダイアリー リアル猟師奮闘記/岡本健太郎

山賊ダイアリー コミック 1-4巻セット (イブニングKC)

岡山在住の作者による、猟師の日々をつづったエッセイマンガ。

現在、4巻まで刊行中。

 

最初の頃は、命をいただくとは?みたいなところがチラホラあって、そこが個人的にはノイズだったが、最近は単純に猟師としての日々を綴ったものになっていてだいぶ読みやすくなった。

 

普段どうしてるの?という部分が非常に見えにくい商売。それが猟師。

 

空気銃やその弾丸の相場。

猟銃所持の許可証を取るための手続きあれこれ。

罠猟にも許可証がいること。

許可証を取るための試験の内容。

獲物の解体について。

 

なんとなく漠然としたイメージはあるけど、実際どうなの?というと答えづらい。

知らない分野の知らないことが、淡々と描かれていることもあって”猟師”という職業が特別でないことが分かってくる。

 

野山を駆け回って、猟銃で獲物をしとめるのが猟師。

じゃあ”仕留めた後はどうするの?”っていうのは意外にわからない。

マタギの世界のように、熊の毛皮とか売るわけでもないだろうし、アメリカやイギリスのように獲物を狩るだけのスポーツハンティング、というのもあんまり聞かないし。

結局食べるんでしょ?っていうのも、じゃあ、どうやって?という疑問に逆戻り。

”生きてる命をいただくんですよ”という食育的なものも必要なんだろうけど、そんなことよりも、”じゃあ、どうやって?”っていう根本的な疑問の方が先に立つし、興味がある。

ハトやキジ、イノシシなどの獲物の解体。そして調理。

調理方法もいろいろ。

燻製に鍋、焼肉などなど。

野生肉(ジビエ)料理といって駆除動物の食肉を有効活用しようという動きが田舎では活発になりつつある今。

猟師にとっては当たり前でも、こっちにはそれが新鮮だったりする。

 地産地消が~とか、地元ブランドが~とか言われてはいるけど、結局のところ一番贅沢なのは、自分で獲った獲物を自分で調理して自分で食べることだ。

 

畑を荒らすカラスの駆除のくだりとかは、家庭菜園レベルでも、畑を持ってる人なら切実だ。

しかも、作者はカラスを食う(笑)。

”殺したら食え”は『食人族』のルッジェロ・デオダード監督を思い出す。

キャッチ&リリースなんて命を弄ぶ行為。

殺るか殺られるかの生存競争の中じゃ、捕まえたら食うのがルール。

そして、出来るだけ美味しく食うのが獲物に対する礼儀。

なんだ、立派な食育じゃないか!!

 

獲物を〆て解体する、という行為を一方的に、残酷だ、とか、野蛮だ、とか言ったりするけど、それってどうなんだろう?

商品としてパッケージされたものが店には並ぶが、その商品(例えば、パックに入った肉や、魚のフライとか)が本来どういう形をしていて、どんな生き物だったのか、というのを全く気にしないで口に運んでいることの方が、考え方を変えれば異様な事だ。

だいたい、尾頭付き、っていうのは”正真正銘この獲物を料理いたしました”ということを表明するための調理法なわけだし。

 

パタンと本を閉じた後に、ちょっといろいろ考えてみたくなる。

 

猟師という職業は決して特別な職種ではない。

読むたびに、意外に身近なんだとわかる本。

個人的に、荒川弘の『百姓貴族』と併せて読むとさらに面白いかもしれない。