眼鏡堂書店

積み上げられた未読本の消化と、ホラー映画100本ノックを目指すブログ。不定期更新のゆるゆるです。

キャリー

 

キャリーといっても、ぱみゅぱみゅではない。

原作スティーブン・キング、監督ブライアン・デ・パルマによって作られたホラー映画をリメイクしたもの。ちなみに本作の監督はキンバリー・ピアース

 

正直なところ、今の今まで食指が動かなかったのには理由がある。

今回のリメイクだが、どう考えてもあからさまな地雷臭しか漂ってこない。

 

まずは、原作・スティーブン・キング

確かに彼はホラー小説の巨匠で、映画のヒットも多い。だが、ヒットしたのは『スタンド・バイ・ミー』だとか『ショーシャンクの空に』とかで、百歩譲って『シャイニング』をヒットに加えるとしても、ホラー映画の原作者としては必ずしも打率は高くない。

加えて、今回の主役・キャリーを演じるのは、”可愛すぎる16歳”としてお馴染みの、クロエ・グレース・モレッツ

ヒットガールを演じたあのクロエちゃんが、よりにもよって内気ないじめられっ子というミスキャストも甚だしい人選。確かに、いま一番勢いのある子役スターではあるけれど、一番キャリーから遠いキャスティングだ。

 

ホントに大丈夫なのか?この映画。

 

だが、いざ見てみるとクロエちゃんは意外に悪くない。

しかし、それを凌駕するほどに母親役のジュリアン・ムーアが恐ろしいのなんのって……。そこにいるだけでも恐ろしいのに(ルックスが)、キリスト教原理主義に凝り固まって常軌を逸してしまっているので、恐ろしさはさらに倍増。ジュリアン・ムーアってこんなにおっかなかったか?

 

その上、全体的にゲスい話なので観ていて気持ちのいいものではない。

それは原作からしてそうなので仕方がないとはいえ、ここにSNSを使ったネットイジメを加味したことでゲスっぷりは更に増加。

つい、この映画を思い出した。


町山智浩が映画『ディスコネクト』を語る - YouTube

 

ともあれ、キャリー自体はこれでなんと3度目のリメイク。

なにがどうなってどういうラストになだれ込むのかはほとんど常識の範疇だ。

当然、映画もあのラストシーン(※ホントに残念なラストシーンに改変された)へとどうなだれ込むかまでの100分間なわけだが、繰り返すがあまり気分のいい映画ではない。

 

他人に向ける悪意は言うまでもないが、だからといって安易な親切や同情もまた人間を傷つけるということを重々理解すべきだろう。

一人でいる人間に対して「仲間に入りなよ、ひとりでいるなんておかしいよ」などというのは相手を深々と傷つける。一人でいることにやすらぎを見出す人間もいるのだということも理解すべきだ。なぜなら、孤独ほど自分自身に寄り添ってくれる存在はないのだから。

それに、世の中の全員が全員、あなたと同じ価値観で生きているなどと思ってはいけない。特に、心に闇がなく明るい心を持っているという自覚がある人間ほど注意すべきだ。なぜなら、そういう人間ほど価値観の異なる他人に対していくらでも残酷になれるからだ。それも自覚のないままに。

人間同士の付き合いには適切な距離感というものがある。それは個人によって違うし、自分が気持ちの良い距離感というのが他人にとってもそうだという保証はどこにもない。そもそも、気遣いというのはそういう趣旨から派生したものだ。密接な事が親切ではなく、適度に距離を置いて殊更に干渉しないことも親切心であり気遣いなのだと思う。絆という言葉が野放しで独り歩きしている最近、過剰な親切心という暴力が横行しているように思えてならない。

キャリーをプロムの主役にしてあげようという親切心はまさにそのものズバリ。彼女の親切心がどれだけキャリーを深々と傷つけたのかは言うまでもない。

 

キャリーと言えば真っ先に思い浮かぶ、プロムでの大惨劇は暴力性と残虐性に満ちている。

クラスのイケてるチームにとってプロムは一大イベントなんだろうが、世の中にはティム・バートンを筆頭に、「なにがプロムだバカヤロウ!!全員皆殺しだボケ!!」と心の底から思っている人間も一定数居るので(※オイラも含む)、体育館に閉じ込めての大虐殺はとても心が温まるハートフル極まりないシークエンス。ってかもっとやれ。ってかむしろ、殺れ!!もっと殺れ!!

だが、せっかくのプロムの大虐殺も照明が落ちているので何が起きているのかいま一つピンとこず、なおかつ思い出してみれば死人も少ないような気がする。大抵の非モテ男女はプロムなんぞに出てる人間は死ねばいいと思っているので、もっと残虐にバンバン殺すべきだったと思います。だって、みんなそれが楽しみで見てるんだしさあ。たかが映画なんだからもっとエクストリームにしてほしかった。

何かキャリー自体も怒りでコントロールできないとか、復讐心に我を忘れている、という感じが希薄に思えてならない。もっともっと派手な大暴れが見たかった。規模を大きくすればいいということではないので、お間違いなく。

閉鎖された空間での阿鼻叫喚の地獄絵図と大虐殺&大殺戮が是非見たかったわけなのですよ。

 

前作がデ・パルマの映像美によってできていた映画なら、本作はクロエちゃんの魅力でもっている映画といってよい。役柄が役柄なので表情が乏しいのが残念だが、彼女のキュートさが垣間見られるのは嬉しい。クロエちゃんの水着姿にウハウハ

難点としてはキャリーとキャリーの母親以外全く印象に残らず、ただ胸糞悪い映画だったという点くらいだろうか。とにかく、最初からアクセル全開で胸糞悪くなる展開に突入した挙句、予想以上にスカッとしないラスト。どうにも収まりの悪い中途半端なものに仕上がった感じだ。

確かに良かったけども、もう一回見たいか?と聞かれるとだいぶキツイ。

フィクションだとはいえ、女性だけの集団でその中の人間関係にオトコがからんでくるとこんなに陰湿になるもんなのだろうか?

年頃の娘がいる家庭だと切実な問題だともいえなくないが、だからといってずいぶん露悪的な気もする。思い出すたびに胸糞悪い。男の目から見ると余計に非常に趣味の悪い印象を受ける。ちょっと二の足を踏むのはその部分だ。

 

それにしても、『クロニクル』といい『アナと雪の女王』といい、内に秘められた能力が発現&暴走するというジャンルが流行ってるんだろうか?