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眼鏡堂書店

積み上げられた未読本の消化と、ホラー映画100本ノックを目指すブログ。不定期更新のゆるゆるです。

ウルヴァリン:SAMURAI

 

 あれはTBSラジオの『たまむすび』だっただろうか。映画評論家の町山さんがこの映画をとりあげて、「日本文化のおかしいところがないように頑張って作ったんですよ」という旨のことを言っていたので「ああ、アメリカもやっと他国の文化にリスペクトする謙虚さを持ち始めたのだなあ」などと呑気な感想とともに見たのだが……。

 

何だよ、ただのバカ映画じゃないか!!

 

ニンジャ、サムライ、ヤクザとアメリカのオタクどもが想像するジャパンカルチャーを現地で撮影した奇怪極まりないバカ映画。この映画にない誤解された日本文化は女体盛りぐらいだろうか?

こんなことを言ってはキリがないのは承知の上だが、増上寺から秋葉原駅前を抜けて日本橋に至る逃走経路は、ものすごい距離があるぞ(笑)。

アメリカ人バカ監督の特徴として、パチンコ屋の店内を通過して逃走、ラブホに潜伏という黄金パターンがあるが、この映画の監督もきっちりそれをやる。しかも、ラブホといえばSM部屋とお医者さんごっこの部屋と回転ベッドはマストだよね、と言わんばかりに不必要にツボを押さえたラインナップ。

アホっぷりもここまでくればいっそ清々しい。

たまむすびのなかで「日本文化の間違いを可能な限り直した」「小津安二郎をリスペクトしている」という旨の話があったが、結局興味があるのはパチンコ屋とラブホとヤクザとニンジャ(笑)

とにかく、外国人にとって物珍しい日本文化が満載だ。

 

個人的に拍手したいのは、真田広之の二刀流。

日本の時代劇でも間違っていることが非常に多いのだが、二刀流の場合、右手に長い方の刀を持ち、左手に短い方の刀を持つのが基本。

映画『マチェーテ』でスティーブン・セガールが二刀流を披露するが、残念なことに左右が逆。

まともな二刀流が見れたのはちょっとうれしかった。


剣道二刀流の試合 2006.7.31必殺会心の一撃 決死の一撃 - YouTube

(※剣道では二刀流はOKだったりする)

 

まあそれが見どころの全てといってよい。ちなみに他は何もない。

総合的には、正直だいぶガッカリきた。

 

XーMENシリーズは未見だが、本作では主人公のウルヴァリンがボンクラ極まりない。不死身なのはいいが、思いの外戦闘能力が高くなく、不必要にピンチに陥る。

不死身の時もいい加減役立たずだったが、ヴァイパーからお茶に毒を盛られて能力を失って以降、単なるガチの役立たずにクラスチェンジ。

ヤクザにバットでボコボコにされたり、ラブホの受付のオバチャンに怒鳴られたり、マリコにご飯に箸を立てるなと怒られたり、挙句の果てにマリコをあっさりさらわれてみたりと、驚くほどに役に立たない。基本的に日本の地理が分からないので、ユキオがいないと何もできないのだ。

前半新幹線の上でのありえないくらいのアクションシーンを披露するが、ウルヴァリンよりも日本のヤクザの方が圧倒的に強いじゃねえか、などと思ったりする。それに後半ではニンジャたちによってたかって攻撃されて捕獲されるなど、ここでも大して強くない。

圧倒的な強さを見せたのは、冒頭でハンター相手にしてた時ぐらい。

おまえはチンピラか(笑)。

 

携わったスタッフ含め、正直、これがキャリアに深刻なダメージを与える結果になった人もいるだろう。そういう意味では、早々に監督を降板したダーレン・アルノフスキーの判断は正しかったと言える。

彼の後任として本作のメガホンを取ったのは、なんとジェームズ・マンゴールド

17歳のカルテ』『ニューヨークの恋人』『3時10分、決断の時』と傑作を作り続けてきたにもかかわらず、本作で一気に株を大暴落させたような気もする。

奇妙キテレツな日本描写は面白かったが、それは監督の手腕とは関係ない次元の評価だ。前作『ナイト&デイ』はそれなりに面白かったのに、一体どうしたのだろう?

 

とにかく、一番足を引っ張っているのは脚本だ。

脚本を3人がかりでよってたかってアイディアを詰め込んだ段階で満足したのだろう、煮詰めるという作業を怠ったのか放棄したのかは定かではないが、場面同士の組み合わせが非常に悪い。とにかく全体の整合性がテキトーなのだ。

例えば東京から長崎に逃げる場面。ウルヴァリンとマリコは電車やフェリーなどを使って移動したのだが、追っかけてきたユキオは自動車。東京長崎間を自動車か……。ありえないとは言わないが、少々現実離れしてないか?

何よりその適当さ加減が際立つのが、季節感。

葬式は夏だったのに、東京から500キロばかり北に移動したら雪が降ってる。

一体季節はいつなのか?と。

アクションパート、陰謀パート、ほのぼのパート、とシークエンスの色合いに統一感がなくとてもちぐはぐな印象。

とにかく全体が終始こんな調子。

とにかく統一感が全くない。

加えて、「ん?」とこちらが疑問に思うと「いや、実はあれは……」と後付けで説明が入り、その説明によってストーリーがさらに混乱。そこに更に後付説明を加えてくるので、余計によく分からなくなる。

 

恐ろしく雑な脚本と、演技力に乏しい俳優陣、見当はずれな演出と三拍子そろったガッカリ映画。二時間程度の尺にもかかわらず、恐ろしく長く感じられた。

個人的にヒュー・ジャックマンが好きではないので、あの野郎の半裸とどうにも生理的に受け付けない福島リラの顔がアップになること多数なので余計に苦痛。

熟女の色気ムンムンのファムケ・ヤンセンのカットバックだけが心の救いだ。

夢の中とはいえ、隣に下着姿のあんな色っぽい女が現れるウルヴァリンが羨ましい。

どうすれば、そういう夢が毎日見られますか?是非教えていただきたい。