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眼鏡堂書店

積み上げられた未読本の消化と、ホラー映画100本ノックを目指すブログ。不定期更新のゆるゆるです。

ドラゴンゲート 空飛ぶ剣と幻の秘宝

ドラゴンゲート 空飛ぶ剣と幻の秘宝 スペシャル・プライス [DVD]
 

俗にいう”娯楽アクション映画”における重要な要素に、ケレン味(※ハッタリ感でも可)がある。

「何がなんだかよく分からないが、とにかくスゲえ」というアイツのことだ。

一番わかりやすいのは、『マトリックス』だろう。

マトリックス 特別版 [DVD]

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飛んでくる弾丸を海老ぞりでかわす、という映画史上に残る名シーンがあるが、あれも最初見たときは誰もが思ったはずだ。

「ありえねえ!!」と。

でも、「ありえねえ!!」ながら鮮烈なビジュアルイメージに打ちのめされて、こう思いませんでしたか?

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※出典:山口貴由覚悟のススメ』より

 

さて、この『ドラゴンゲート 空飛ぶ剣と幻の秘宝』は、まさにそれだけでできている映画といってよい。”香港のスピルバーグ”の異名を持つツイ・ハークの最も得意とする大仰でド派手でやり過ぎなアクションが満載。慣性とか重力とかそういった科学的な物理法則を一切考えない輩がワイヤーとCGを駆使して作り上げた超トンデモ映画だ。

もちろん、この表現は褒め言葉として使ってるぞ。

やり過ぎバンザイ!!

 

ちなみにこの映画、かつてツイ・ハークが脚本を書いた『ドラゴン・イン』の続編である。

ドラゴン・イン(字幕) [VHS]

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『ドラゴン・イン』の主役の武芸者を演じたのはジェット・リー。そして彼と戦う宦官をドニー・イェンが演じている。『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ/天地大乱』のような奇跡の同門対決が観られるため評価が高い。


新龍門客棧 (ドラゴン・イン) - YouTube

 

で、肝心の『ドラゴンゲート』だが、キャスト的な視点から『ドラゴン・イン』と比較するのは酷というものだろう。

ドラゴンゲート』の主演はジェット・リーなのだが、さすがにもう60にもなろうという彼のアクションは、キレという意味では少々厳しい。その彼と冒頭で戦う年老いた宦官が登場するのだが、なんとそれがリュー・チャーフィー。さすがにオッサンと爺さんが戦う絵面は別の意味で心臓に悪い少林寺』と『少林寺三十六房』が戦う夢の対戦カード。クンフー映画のファンなら必見だ。

少林寺三十六房 [DVD]

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とにかく、ド派手で大仰な時代劇アクション。

前作の『王朝の陰謀 判事ディーと人体発火怪奇事件』もそうだったが、とにかく驚異的かつ圧倒的なスケール感。

その一方で、キャスト陣のインパクトの無さはあるが、画面の派手さや荒唐無稽なストーリーを考えると、マイナス要素というほどではない。

しかし、役者陣に華がないのは事実だ。

そういう意味では、ああ、この人はきっとあの俳優に演じさせたかったんだろうな、というのが透けて見えるのはちょっと困る。

困りながらも、ツイ・ハークがその問題をどう解決して見せたのか、は逆に感心する。

個人的に一番感心したのは、チェン・クンという俳優の起用。

演技力がある、アクションができる、という点のほかに、彼を起用したのは間違いなく”顔がレオン・カーフェイに似ているから”という理由が多くを占めているに違いない。

当人はどう思っているのか知らないが、レオン・カーフェイだったらどう演じるか?ということを踏まえながら、二役を見事に演じきったチェン・クンはこの映画における最大の功労者といってよい。

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※左がチェン・クンで、右がレオン・カーフェイ。写真ではそうでもないが、実際に映画で見ると驚くほどにそっくりだ。

 

最大の見どころは脚本。 

個別のストーリーラインを最終的にある一点に集約させるという展開の教科書といってよい脚本は、さすがはツイ・ハーク

もともと彼は脚本やシナリオから業界に入った人であると同時に、プロデューサーとして頭角を現した人。とにかくオリジナルのシナリオを作る、という点に関しては折り紙つきだ。ことに武侠小説*1の熱烈な愛読者でもあるので、本作はことのほか気合が入っている。

これはあまり書きたいことではないのだが、かつての盟友ジョン・ウーの『レイン・オブ・アサシン』と比べると、ストーリーの完成度はこちらに軍配を上げざるを得ない。

アクションは『レイン・オブ・アサシン』の方がスピーディーなのだが、肝心のお話の方がいまひとつ。正直、ジョン・ウーにああいった大河的な武侠小説は向いてないんじゃないか?などと思ったりした。まして、恋愛要素をからめるのならなおさらだ。*2

ツイ・ハークというと荒唐無稽なくらいド派手なビジュアルの人、という印象があるが、脚本の上手さを改めて認識。一時、スランプ気味だった時期があったが*3、今は完全に持ち直している。改めて、自身の全盛期を作り上げた感じがあって、見ているこっちが嬉しくなる。

まあ、若干の脚本の粗はある。一体、督主と情報屋はどのタイミングでどうやって入れ替わったのか?とか、言いたいことは色々あるが、全体のまとまり具合からすると気になるほどではない。

 

ただ、ひとつだけ困ったことがある。

何というか、アクションが”遅い”のだ。

単純な物理的スピードというよりは、映画内のスピード感と言った方がいいだろう。そのスピード感がないのだ。そのうえ、抑揚やタメが全くなくてのっぺりしているので、かえって遅さが際立つ。

もっとも、びっくりするくらい遅いわけではない。あくまでも遅いのはスピードであって、実際のスピードではない。

たぶん、作っているとき(編集しているとき)には分からなかったのだろう。製作者として作品の内部に入り込んでいるのだから仕方ないともいえるが、ホントにこれはちょっとびっくりした。もしかしたら、単純にオイラの感覚に上手くシンクロしなかっただけなのかもしれないが。*4

 

本作は中国初の3D映画だそうで、なるほど見世物映画としてはこの上ない完成度。

ジェット・リーとチェン・クンによる竜巻の中でのグルグルアクションをはじめ、マジか?!と言いたくなる頭を抱えるような筆舌に尽くしがたい驚天動地のアクションがてんこ盛り。

観終って心に残るものは何もないが、娯楽映画の娯楽映画たるところをガンガンに見せてくれる楽しい映画。まさに夏休み向けだ!!

 

【追記】

見ておくとより一層楽しめそうな他作品をご紹介。

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ブレード/刀 [DVD]

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楽園の瑕 終極版 [DVD]

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十三人の刺客 通常版 [DVD]

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*1:武術に長け、義理を重んじる人々を主人公とした小説の総称。代表的な作家に金庸がいる

*2:そんなジョン・ウー監督の最新作は『太平輪』。長澤まさみを主演に迎え、太平輪号沈没事件を元にした香港版タイタニック。よりにもよって彼が最も苦手とする男女の恋愛映画だ。

*3:映画『セブンソード』は主役7人のキャラクターを持て余しているような感があった。

*4:ためしに再生速度を1.1倍速にしたらちょうどよかった。1.2倍速だと早すぎる。ホントに微妙なさじ加減の遅さだ