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眼鏡堂書店

積み上げられた未読本の消化と、ホラー映画100本ノックを目指すブログ。不定期更新のゆるゆるです。

サスペリアPART2

映画【ホラー】
サスペリア PART2 / 紅い深淵 完全版+公開版 [DVD]

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エコエコアザラク3のときもそうだったが、今回もいきなり2から見る。

「なぜおまえはシリーズを順番に見ないんだ!!」と怒る人もいるかと思うが、今回ばかりはオイラも一家言あるぞ。

なぜなら、このサスペリアPART2(以下サスペリア2と表記)はサスペリア4部作の一番最初の作品だからだ。

 

順番、というか本国での公開順は、

1)サスペリア

2)サスペリア

3)インフェルノ

4)サスペリア・テルザ 最後の魔女

だ。

第一、サスペリア2とサスペリアにストーリー上の関連はない。だって全く別の作品なんだもん。*1

にもかかわらず”サスペリア”というタイトルが冠せられたのは、単純に配給会社の売り込みの問題だ。ちなみに、全く別の作品にもかかわらず勝手にシリーズに組み込まれたことを知ったダリオ・アルジェント監督は普通にびっくりしたとのこと。

……なんかこの辺りはスティーブン・セガールの”沈黙シリーズ”を思い出す。


木曜洋画劇場CM 沈黙の断崖 - YouTube

アレもシリーズとして繋がっているのは『沈黙の戦艦』と『暴走特急』だけで、あとは全く違う作品なのに配給会社が勝手にシリーズ化したのだ。

なんとなく、それに近いような気がする。

 

さて、そんなわけでサスペリア2。

この映画といえば有名なのは「約束です!決してひとりでは見ないでください」という秀逸なキャッチコピー。

ホラー映画は恋人や夫婦のスキンシップを深めるための実用映画でもあるので、こういう煽り文句は理に適っている。

 

某レンタルショップで見た光景だが、ヤンキー系のカップルが

「アタシ、これ見た~い♪」

「お前ホラーだめじゃん」

「大丈夫大丈夫♪」

とかいうイチャイチャの上、借りて行ったのは『ムカデ人間2』。

しめしめ、こいつら地獄を見るぞ ( ̄ー ̄)ニヤリ


映画『ムカデ人間2』予告編 - YouTube

 

それはいいとして、ダリオ・アルジェント作品は非常に見ごたえがある。

 

何よりもまず音楽がイイ。

イタリアのプログレバンド『ゴブリン』が全面参加し、サントラを手掛けている。聞いたところによるとゴブリンのメンバーとダリオ監督はツーカーの仲らしく、楽曲と映画の世界観とがピッタリ。重厚な画面と荘厳かつ前衛的な音楽の組み合わせは、目と耳を飽きさせない。

 

ジャンルこそサイコホラーものだが、語り口は完全にサスペンス映画だ。

特にカメラワークは時々犯人のものと思われる1人称視点になるので、余計にサスペンス色が強く感じられる。確かに、猟奇殺人もののサイコホラーとサスペンス要素は非常に相性がいい。*2しかし、これが簡単なようで難しい。

少なくとも、最近の邦画やドラマでこの試みが成功しているというのを聞いたことがない。大抵、さじ加減を間違って大爆発というのがお約束。

その点でいうと、このサスペリア2は非常にいいバランスだ。

ホラー映画の棚に置かれてはいるが、内容は巻き込まれ型のサスペンス映画。まるでヒッチコック作品みたいだ。

画面のバランスや構図、カット割りのテンポも抜群。

こういうところが、ハラハラしながらも安心して見れる一番の要因だ。

へたくそな監督だと、臨場感が~とか言いながらやたらとカメラを振り回したり、派手さを追い求めてやたらとカットを切り替えたりして、結果として何が起こっているのかさっぱりわからない、という状況に陥りがちだ。ただし、それがヤリすぎレベルまで突き抜けると作家性に変質する。マイケル・ベイ監督のアクションはその典型。

 

しかし、天下のダリオ・アルジェントにそんな心配は一切無用。

とにかく画面が美しいのだ。

余談だが、途中にエドワード・ホッパーの『ナイトホークス』まんまの風景が登場したときは、個人的にちょっとツボった(笑)。

デヴィッド・リンチダリオ・アルジェント

全く接点がなさそうなのにねえ。

 

それはともかく。

 

サスペンス映画のテイスト。

ホラー映画のテイスト。

恋愛映画のテイスト。

この3つのテイストが絶妙なバランスで成り立っているうえに、画面が非常にきれいでオシャレ。およそホラー映画的からイメージされる下品さや安っぽさは一切ない。むしろ逆に非常に高尚で格調高くさえある。

だが、根っこにあるのはホラー映画の魂だ。

今回のビックリ表現(ショック描写ともいう)は、サスペリア2の代名詞でもある、

  • 熱湯で顔面大ヤケド
  • 人形が笑いながら襲撃
  • トラックで引き回し
  • 自動車に顔面をグチャッとされる
  • 首チョンパ

の豪華ラインナップ。

こういう表現を前にすると思わず、

「いよっ!!待ってました!!」とか拍手をしたくなるのですが、実際にやったらバカだと思われるのでやめておきます。

 

文句のつけようのないくらいの大傑作。

ただ、個人的に少々重すぎるように感じた。

多分それは想像していたのと違うストーリー展開に驚いたせいだろう。

思ったよりも当たり前のところに着地したような気もしないではないし、あるシーンでは「いくらなんでもネックレスが丈夫過ぎないか?」と思わないではなかったが、とにかく大満足の映画だった。

 

ダリオ・アルジェント監督のファンになりそう。

まず、当人の見た目がホラー映画的だ。

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【追記】

本作のテーマ曲がコチラ。


Goblin - Profondo Rosso - YouTube

 

*1:2)~4)がシリーズ作。

*2:映画『セブン』はその究極形。他に『羊たちの沈黙』などがある。