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眼鏡堂書店

積み上げられた未読本の消化と、ホラー映画100本ノックを目指すブログ。不定期更新のゆるゆるです。

サスペリア

サスペリア [DVD]

サスペリア [DVD]

 

重篤な病に侵されてしまった。不治の病といってよい。

 

病名は、”ジェシカ・ハーパーが見てえ病”。

 

というわけで、ジェシカ・ハーパーが見てえという欲求を満たすべく、『サスペリア』を鑑賞する。*1

この人がジェシカ・ハーパー。*2

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見事なまでに美しくて広いデコと極太の眉毛がたまりません。『サスペリア』では、彼女が眉間にしわを寄せて困った顔をするので、そこも最高。もうドストライクだ。

 

さて、『サスペリア』といえば、オレたちのダリオ・アルジェント監督の傑作にして、イタリアンホラー&オカルトホラーの傑作中の傑作。

コレと『エクソシスト』と『オーメン』は夏の映画鑑賞の鉄板だ!!

夏はオカルト&スプラッターなので見ないわけにはいきません。

あれだあれ、旬の食材を旬に楽しむみたいな?初鰹みたいなモンですよ。

 

……と、まあ冗談を並べたところで少々真面目にこの作品について書いてみる。

 

サスペリア』といえば、ダリオ・アルジェント監督による”魔女3部作”の1作目。

本作が公開されたのは77年。同年の映画には『イレイザーヘッド』『エクソシスト2』『サランドラ』といった作品があり、日本でも『八つ墓村』が公開されている。

ちょうどオカルトホラーブームが拡大していたころ。当然、そのような要素はこの映画の中にも見受けられる。

有名なのは、冒頭のタクシーの中でのシーン。

車の窓に”何か”が映るという例のアレ。当時は散々これを煽ったが、監督曰く「意図的にやった」とのこと。

そんなものよりも、『サスペリア』という映画を恐怖映画たらしめているのは、目と耳に対する効果だ。

 

まずは、耳。

サーカムサウンド(音響立体移動装置)*3を用いた立体音響は、映画館なら相当なはずだ。DVDではそういう効果はないにせよ、とにかく音楽が圧倒的。

加えて、イタリアのプログレバンド『ゴブリン』の手によるサウンドトラックは、美しくありながら非常に不気味で異様。イヤでも神経が磨り減らされるように、不安をあおりたててくる。

ちなみに、かの有名なテーマ曲がコレだ。


Suspiria - Suspiria, Goblin - YouTube

ついでなのでエクソシストのテーマも貼っておく。

コチラも夏になると聞きたくなる心の一曲だ。


エクソシスト (The Exorcist) テーマ 曲 サントラSP盤 - YouTube

 

次に、目。

この映画を観れば一目瞭然なのだが、画面全体が、赤、青、緑に色彩設計されている。

全色揃っている場合もあれば、画面上のどこかにこの三色がある。

余談だが、こういう色彩設計が最近業界的に流行っている(?)らしく、『食べて、祈って、恋をして』や『ドライヴ』、『オンリーゴッド』などが話題になっている。

前々から、「何故この3色なのか?」と思っていたが、今回見直して疑問が解けた。

「これってRGB*4じゃん!!」

実際、この映画はテクニカラーで撮られ、その効果を最大限に生かしている。RGBの各3本のフィルムを合成することで映写するテクニカラーは色彩の劣化が少なく、色調が非常にハッキリしているのが特徴。

本作では、特定の色を抜いてスポットライトのように原色を際立たせたりと、このテクニカラーの持ち味を最大限に生かしている。

とにかく、この映画は目に痛い。ぎらつくような赤青緑の原色によって作られる異様な色彩世界は、作品全体のトーンとも相まって非常に神経を毛羽立たせる。

そりゃ見ていて怖くもなるってものだ。

 

さらに面白いのは、異様な場面における縮尺の歪み。もし『カリガリ博士』のようにすべての直交が歪んでいる、とかなら一目瞭然なのだが、この映画はそんなに簡単ではない。

2度3度と見直すつもりの人は、このバレエ学校のドアノブの位置に注目してほしい。

明らかにありえない場所に位置してる場面があるからだ。

これはダリオ・アルジェントが意図的に行ったこと。

もともと、バレエ学校の生徒たちはもっと幼い設定だった。10~12歳くらいを想定して脚本を仕上げたのだが、完成の段階で「子供にそんなことをさせられるか!!」となってしまい、仕方なく+10歳にしてみたとか。

こうして20代の女優たちをそろえたにもかかわらず、脚本はそのままで撮影したところは面白い。そのため、年齢とマッチしない妙なイノセントさが逆に薄気味悪く、映画内の狂った感じをより強調している。

 

何よりこの映画で際立つのは、”痛そう”。

使用される凶器の数々も、ガラス、針金、剃刀といった非常に”痛い”シロモノばかり。

そりゃあ、RGBも際立つってもんだ。

 

アルジェントが得意とするヒッチコックばりのサスペンス展開は、手に汗握る、というよりも、「一体どういう結末にたどり着くんだろう?」と展開が予測できない。

何しろ、かなり早い段階から謎を解こうとした人間が次々消えていくので、なかなか真相の全容が見えてこない。この辺りの「何か異常な事が起きているが、それが何なのか分からない」という暖簾に腕押し感は、ホラーの醍醐味ともいえる。

 

若干、結末にトンデモ感がないではないが、そこはホラー映画なんで。

昔見たときはあまり好きな作品ではなかったが、こうして見てみると確かに傑作だ。

キワモノ映画として有名だが、そのへんの映画とは格の違う大傑作。

もう大満足!!

 

【追記】

これだけの傑作ならば、当然持ち上がるリメイク企画。

だが、残念なことに現在そのリメイク版は製作断念の状態だ。

監督であったデヴィッド・ゴードン・グリーンは自身の脚本では製作費がかかりすぎるためGOサインが下りなかったことを明かした。

ちなみに、ジェシカ・ハーバーが演じた主人公には、『エスター』で有名なイザベル・ファーマンが内定していた模様。

 

『エスター』のときは12歳だったイザベルちゃんも17歳。

いやぁ、すっかりキレイになったなあ……。

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*1:よくよく考えたら『ファントム・オブ・パラダイス』でも良かった気がする。

*2:ファントム・オブ・パラダイス』では劇中の歌は彼女が全て実際に歌っている。元々ミュージカル女優なので歌って踊るのはお手の物。しかもメッチャ上手い。

*3:前方3個のスピーカーに加え左右・後ろに5個のスピーカーを劇場に設置して計8個のスピーカーを使用したサラウンドシステム。

*4:red(赤) green(緑) blue(青)による光の三原色のこと。