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眼鏡堂書店

積み上げられた未読本の消化と、ホラー映画100本ノックを目指すブログ。不定期更新のゆるゆるです。

忍たま乱太郎【実写版】

映画【アクション】
忍たま乱太郎 特別版 [DVD]
 

正直な事を言わせてほしい。

もし、あなたが自分のお子さんにこの映画を「見せたいわ♪」と思っているのなら、即やめるべきだ。

見せるべきはこの映画ではなく、女の子だったら『アナと雪の女王』、男の子だったら『パシフィックリム』にしておくのが良いと思われます。っていうか四の五の言わず『エクソシスト』と『死霊のはらわた』を見せときゃいいんだよ!!夏の映画はその2本って決まってんだよ!!オレの中の法律で!は!

 

そもそもこの映画、驚くほどに子供向きではない。

 

平幹二郎松方弘樹柄本明寺島進古田新太中村玉緒鹿賀丈史といった地位も名誉もある大御所&中堅俳優たちが全力でコスプレ&悪ふざけする映画であり、なおかつ監督は三池崇史

どう考えても子供向きではない。

オレの弘樹と丈史が、まさかまさかのコスプレ全開。しかも当人が至って楽しそうという二重の意味でのショック描写。

思いの外興味なさげにスルーするお子ちゃまたちとは対照的に、素で愕然としてしまった。嗚呼、オイラの弘樹と丈史……。

 

だいたい、なぜ敵から狙われるのか?ということを鹿賀丈史が説明するシーンはなんとミュージカル。ちなみに、これは鹿賀丈史劇団四季出身であることへのオマージュでありパロディなのだが、少なくとも今の子供たちはそんなことを知らないぞ。

親の世代だって微妙なのに、全く気にすることなくぶっこんでくる三池監督。

恐るべし。

っていうか、何も気にしないんだな、この人。

 

アニメの実写化というのは『釣りバカ日誌』以外誰も得をしないと相場が決まっているのだが、本作もその例外ではない。

アニメではそれなりに可愛げのあるキャラクターだったのが、特殊メイク等で実写化すると非常に薄気味悪く、クリーチャーめいていて、ハッキリ言えば小汚い。

加えて、子役たちは頑張っていたと思うけれど、どうも全体的に個性が乏しくて元の忍たまを知っているかから何とか補完できるという部分が多々あって、「だったら別に実写にしなくてもいいんじゃね?」と思ったりする。

本作の脚本は浦沢義雄の手に因るのだが、彼はアニメの忍たまの脚本家だ。

オイラの記憶が間違っていなかったら、実写版が公開されたのとほぼ同時期に劇場版アニメの忍たまも公開されており、そっちも彼だったはずだ。

だったら、素直に劇場アニメの忍たまのほうが、子どもたちにはジャストミートなはずだ。

何故に、実写版など作ったのかと小一時間問い詰めたい気もするが、止むに止まれぬ事情があったのだろう。

たぶん。

 

まあ、それはいいとして、やっぱり浦沢脚本と三池演出のミスマッチぶりが非常に際立った映画だった、というのがオイラの率直な感想だ。

浦沢脚本の特徴は、人物描写やストーリーの面白さよりも、アイディアの面白さを目いっぱいに詰め込むという点にある。いわゆる『おもちゃ箱をひっくり返したような』作品だ。

んで、これがアイディア押しの三池演出と非常に相性が悪い。

自由奔放な三池演出と最も相性がいいのは、一切のアドリブも許さず、徹底的にストーリーが構築された脚本。いわゆる『かっちりした脚本』だ。

脚本という土台に付け入る隙がないからこそ、演技指導やカメラアングルなどの演出面で大きく手腕を発揮するのが三池監督。

自由度がが高くない中でいかにして監督のカラーを出すか?『十三人の刺客』はまさにこれで成功したのだ。

 

演出家&監督としての裁量が振るえる自由度が高くなればなるほど、元の作品の枠組みを徹底的に破壊してしまうという諸刃の剣なのだ。三池崇史の才能は。

それを考えると、忍たまは非常に残念な結果に……。

 

正直、非常に面白くなく、かつ退屈な映画で、ちらっと時計を見たら「え?まだ10分しか経ってないの?!まだ1時間以上もあるのかよ!!」と地獄の底に叩き落された気持ちになりました。

 

とはいうものの、後半と終盤、乱太郎が勝負のために一生懸命頑張る姿はよかった。

単純明快で、これでもかと言わんばかりのド直球なので、ちょっとウルウルきた。

でも、幕引きがそれかよ!!というので台無し。

子ども店長も声が掠れてて聞き取りにくいし、その他の子役も全体的にキャラクターがぼんやりしているうえに、他のキャラクターもアニメに比べて非常にディフォルメが甘い。改めて『アベンジャーズ』の小気味よい説明やキャラのディフォルメが抜群だったことを思い知らされる。

いちばん見ていてノイズなのは、外見をアニメと同じにしようとした試みそのものだ。

もうさ、コスプレにしか見えないんだもん。そこに超ディフォルメされたアニメ芝居とがあいまって、もう直視に堪えない悲惨な光景になる。

ただ、この悲惨な光景がしばらく見ているうちに目が慣れてくるのか、一周回って「これもアリなんじゃね?」という結論に到達するのは、さすが三池崇史、と感服してしまう。……ホント、ズルイ監督だ。この人は。

 

でもまあ、トータルではかなり残念な映画だと言わざるを得ない。

 

たしかに、三池監督は非常に優秀な職業監督だ。

全く仕事を選ばない姿勢も素晴らしい。

でも、企画を発注する側に再考を促したい、というのがこの映画を観てオイラが思ったことだ。

どんな優秀な監督であっても、相性の良し悪しというのが必ずある。

本当に良い作品を作ろうと思うのなら、その監督のフィルモグラフィーを改めて俯瞰してみるくらいの手間をかけてほしい。

「あの監督なら何をやらせても大丈夫だろう」という見切り発車は、誰も得をしないのだ。

 

脚本もいい。

監督も優秀だ。

でも、脚本と演出の相性は最悪。

製作がもっとちゃんと考えれば、この実写版忍たまはもっともっと良い作品になったと思う。

だって、観ていて期待できる箇所が沢山あるんだもん!!

返す返す残念な作品だ。

 

言いたいことは山ほどある。

でも確かなのは、子供向けの映画じゃないね。コレ。

ちょっと、見ていてハラハラするギリギリのギャグとかあるしねえ……。

 

【追記】

三池崇史をしても、コントロール不能な竹中直人が本当に腹立たしい。

この映画を大々的にブチ壊しているのはこの男。

毎度毎度、演出を離れて好き勝手する彼を見るたびに、「監督や製作の弱みでも握ってんだろうか?」と思ってしまう。

これがコミカル演技だと思っているのなら、猛省を促したい。

素直に邪魔だ。

 

真面目に芝居をすれば、彼ほど鳥肌ものの演技ができる人もいないというのに……。

オイラは↓この映画↓で、竹中直人の真骨頂を見た気がする。

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