眼鏡堂書店

積み上げられた未読本の消化と、ホラー映画100本ノックを目指すブログ。不定期更新のゆるゆるです。

沈黙の戦艦

沈黙の戦艦 [DVD]

沈黙の戦艦 [DVD]

 

昔、日曜洋画劇場で死ぬほど繰り返し放映されていたのを思い出し、懐かしさのあまりレンタル屋で借りてしまった。

本作とヴァンダムの『ダブルチーム』は本当に死ぬほど繰り返し放映されていて、特に夏休みシーズンはヴァンダム・セガールシュワルツェネッガーの繰り返しという筋肉祭りにもほどがあるボンクラ極まりない番組編成。

なんて素晴らしい時代だったのかしら!!

 

そんなスティーブン・セガールの代表作といえば『沈黙の戦艦』。

ストーリーは、よく言えば”戦艦ミズーリを舞台にした海上版ダイ・ハード”。悪く言えば”セガールが無双する映画”。

この”どう考えてもバカしか見ない”作品作りが素晴らしく、『SCREEN』とか『ロードショウ』とか『キネマ旬報』とかを定期購読している行き遅れのOLステキ女子♪の皆さんはきっと見向きもしないのだろうな、などと思ったりする。

そんなことはどうでもいい。

改めて見て思ったのだが、意外にイイ映画だ。『沈黙の戦艦』は。

 

監督は巨匠ということになっているアンドリュー・デイヴィス。

この巨匠の演出が実に素晴らしい。

改めて見て度肝を抜かれたのが、オープニングのタイトルバック。

主演:スティーブン・セガール、出演:トミー・リー・ジョーンズときて、全く同じフォントで『UNDER THE SEAGAL』という原題がどーんと飛び出す。

手抜き間も甚だしいやっつけ仕事が、おどろくほどやる気を感じさせないフォントと相まって「よっしゃ!!キタコレ!!」とテンションをのっけから急上昇させる良く分からない効果を生み出すので「さすがアンドリュー・デイヴィスだな」と分かったような口をきいておくことにします。

あと、今さらだがキャスト陣も素晴らしい。

主演セガールで、敵役がB級映画の悪役ではお馴染みのゲイリー・ビジー。これだけなら、「ああ、このラインね」といった感じだが、なんとここにラスボスとして加わるのがトミー・リー・ジョーンズ。彼の出演でゴージャス感がググッとアップ。一気に「ああ、このラインね」という一線を飛び越える。

素晴らしい。

そのうえ、B級映画のお約束である爆破とオッパイも忘れないファンサービス。

一事が万事素晴らしい。

 

ストーリーはどうでもいい。

主演がセガールなので”ミズーリに乗り込んできたテロリストをコック長のセガールがシバきたおす”という以外の要素ゼロ。雑味なしの100%凝縮セガールである。

なので、無敵の男セガールが堪能できるという一点にのみ、この映画の面白さは集約されているのだ。

……っていうか、細かいところをいちいち気にしてたらきりがない。

だいたい、”あの”戦艦ミズーリの乗組員の数が、妙に少なくないか?

いくらメリル中佐が手引きしたといっても、わずか20人もいないテロリストにミズーリが占拠されるのは不自然じゃないのか?とかそういうことは考えてはいけない。

久しぶりに本作を見直して、「戦艦ミズーリ、結構狭いな」という感想が脳裏をよぎってしまい、フィクションをフィクションとして楽しめなくなっている自分に、心の汚れ具合を感じてしまいました。

 

何はともあれ、若き日のセガールの「こいつはタダモノじゃない」という面構えが最高。

でも、身分がコック長なので敵からナメられまくり(笑)。

「ただのコックだろ」

「コックのくせに」

などと悪態をつかれるが、お前ら目は大丈夫なのか?

まさにコレだ。

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あんなコックがいるか!!

 

セガール映画の特徴として”セガールが全くピンチに陥らず、敵を過剰に無双する”という様式美があるが、当然それは本作でも確立されている。

まあ、以後の映画と比べると、比較的負傷している方だけど。

後は何といってもトミー・リー・ジョーンズの存在感。

セガール映画において悪役というのは”セガールに倒されるため”だけに存在しているので、そのなかで個性を出そうと思ったら結構難しい。でもそこは名優トミー。実に素晴らしいいぶし銀の芝居で場を引っ張って行ってくれる。

意外にアクションにもキレがあり、今見ても十二分以上に楽しめる。

 

セガール映画というのは、最近の『相棒』シリーズ同様に惰性で観賞するものなので深いことは考えてはいけない。

セガールが登場し、セガールが暴れ、むやみやたらと悪人どもをシバキ倒すのが面白いのであって、そういう娯楽の中でストーリーとか物語の整合性とか言ったチマチマしたものの占める割合は完全無欠のゼロ。

いいんだよ、セガール映画なんだから!!

 

というわけで、褒めているんだかケナしているんだか分かりませんが、『沈黙の戦艦』はオススメです。

 

【追記】

沈黙の戦艦』の正当な続編が『暴走特急』。

暴走特急 [DVD]

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この続編は更に輪をかけてパワーアップ。肩を銃で撃たれてもセガールがぴんぴんしており、彼の最強無敵っぷりが常軌を逸したレベルにまで突き抜けています。

「オッパイには気を付けないとな」「キッチンで負けたことはないんだ」という名台詞とともに、厨房内での悪役ボコボコシーンなどセガールの一般的なイメージを完全に構築した逸品。

個人的に、セガールの正体がわかった途端「もうダメや……(T_T)」と絶望のドン底に叩き落される悪人たちが最高です。