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眼鏡堂書店

積み上げられた未読本の消化と、ホラー映画100本ノックを目指すブログ。不定期更新のゆるゆるです。

殺人魚フライングキラー

いきなりのゲスい話ですが、他人の古傷(黒歴史)をえぐるのはとてもとても楽しいものじゃありませんか?まして相手が、超大物ならなおのこと。

というわけで、本日お届けする眼鏡堂書店のブログ記事a.k.a*1”他人の古傷えぐり祭り”は『殺人魚フライングキラー』!!

もちろん、古傷えぐりのターゲットは世界の巨匠ジェームズ・キャメロンだ!!

 

タイタニック』『アバター』で世界一の興行成績をたたき出した映画監督、ジェームズ・キャメロン

そんな彼のデビュー作がこの映画。

だが、彼にとってこの映画は自分の経歴から外したい黒歴史らしく、インタビュアーからフライングキラーの話題が出るとナチュラルにキレるとか。

個人的にキャメロンの映画は好きでないし、っていうかキャメロン自体がどっちかというと嫌いな監督。

なので、今回という今回は容赦なく彼の古傷&黒歴史をえぐりにえぐってえぐりまくるのだ!!イャッホーゥ!!

 

まずは、予備知識として町山智浩さん&宇多丸さんによるピラニア解説をご覧ください。


町山智浩の映画塾!飛び出せ!「ピラニア」一挙放送<予習編> 【WOWOW】#42 - YouTube


町山智浩の映画塾!飛び出せ!「ピラニア」一挙放送<復習編> 【WOWOW】#42 - YouTube


宇多丸が映画『ピラニア3D』を語る - YouTube

 

どうですか?これがピラニア映画のノリってもんですよ。

特に宇多丸師匠のリスナーたちの素晴らしさと言ったら筆舌に尽くしがたいものがあります。バカしかいない加減はノリノリだ!!

このウハウハ&ノリノリのバカさ加減についていけなかったのが、他でもないキャメロン。

マジメか!!

 

そういうわけで、キャメロンのデビュー作である『フライングキラー』。

言うまでもなく、ピラニアの2作目。

前作を担当したのはジョー・ダンテが監督。彼は後に『グレムリン』でヒットメーカーに。

加えて、3作目の『ピラニア3D』はアレクサンドル・アジャが監督し、彼もまたその手腕の確かさを評価されました。

当初、キャメロンも「オレもついに映画監督になったんだ……!!」という夢と希望と野心を抱いて望んだらしいのですが、結果は皆さまご存じの通り。

フィルムの編集権がキャメロンになかったこともあり、彼が目を離したスキに裸のねーちゃんとかを勝手に挿入されるなど、完璧主義者として名高い彼には耐えられないものがあったのだと思うよ。

……そういったことを踏まえて、非常にいい気味だなあ♪

 

いつも以上に、映画本編の感想にいく前の前置きが長げえのなんのって、という気はするけど、そんなことは気にしない。

 

キャメロン自身はなんだかんだとディスっているようだけど、当人が思っているほど悪い映画ではない、というのがオイラの正直な感想。

まあ、確かに後の彼の映画と比較するのは酷というものだろう。

ハッキリ言って低予算のB級映画であるのは間違いない。

そもそも美大中退で女房もちのトラック運転手(趣味:プラモデル作り)という、どこの馬の骨とも知れない輩を拾ってくれたのが、他でもない”B級映画の帝王”ロジャー・コーマン。彼の美術センスを見抜いたコーマンは、セットや衣装、キャラクターデザインを次々に彼にやらせます。キャメロン的には、クレジットに載った最初の仕事は、ジョン・カーペンター監督の傑作『ニューヨーク1997』の特殊撮影&美術スタッフ。

そこから満を持しての『フライングキラー』。

まあ、すっげえ期待したんだろうな……。

 

とはいいつつも、「デビュー作にはその監督の全てが詰まっている」というのは言い得て妙な映画界の格言。実際、この『フライングキラー』にも後のキャメロン作品の片りん、例えば『アビス』や『サンクタム』、『エイリアン2』や『ターミネーター』のエッセンスがちらほら見て取れる。

それ以外にも、秀逸なタイトルバックのデザインであるとか、大人数の群像劇を見事に仕切って見せる演出手腕だとかは、さすが後の名監督と呼ばれるだけのことはある。

なにより、低予算映画にもかかわらず画面全体に貧乏臭さがない。安っぽいのはこの際仕方ないが、低予算映画にありがちな貧乏臭さを演出や構図によって可能な限り消して見せたのはさすがキャメロン。

 

そうは言いながらも、プロデューサーによってツッコまれたであろう数々のお色気シーンの数々は、やはりピラニア映画の醍醐味と言える。

冒頭、何の脈絡もなく出現する水中SEX、無駄に乳を出した姉ちゃん二人など、「おなごの乳と尻で男性客を鷲づかみや!!」というロジャー・コーマン師匠のガッツを感じます。

たぶん、キャメロンはこういうトコを嫌がったのだろうと思われ。

 

映画全体のデキはまだしも、見ていて非常に気になる点がひとつだけある。

本作の舞台はカリブ海の島なのだが、海にピラニアはいねーだろ。

それにトビウオって鳥みたいに飛ばねえよ。

大丈夫か?キャメロン?


トビウオ世界最長飛行記録45秒 - YouTube

とはいえ、フライングキラーのショックシーンは、前置きなしで突然やってくるので結構びっくりする。しかも最初の登場シーンはかなりの意外性だったので、ホントにびっくりした。

憶測だけど、この時の経験が後の『エイリアン2』の成功へと至る足がかりかと考えると感慨深い。『タイタニック』や『アバター』ばかりが言及されるけど、キャメロンはホラー描写もイケるのだ。

多少、ストーリーテリングがかったるいところがあるが、そこは後年のキャメロンの映画すべてに言えることなので特に気にしないことにする。加えて、話に全く関係のないシークエンスが割と大量にあって、緊迫のシーンにもかかわらず大変足を引っ張る始末。何となく、キャメロンが激怒するのも判るような気がしてきた。

 

世間では「監督ジェームズ・キャメロンという金看板以外は何の見どころもない退屈な映画」と言われているようだが、オイラはすごく楽しめた。

キャメロンには悪いが、これってもっと評価されるべき映画だと思うぞ。

ピラニア映画特有のバカっぽさはないが、動物パニック映画としてはよくできている。

まあ、若干キツいところはあるけれど、フライングキラーが大挙して襲いかかってくるシーンとかは圧巻。

 

キャメロンの古傷をえぐりにえぐってえぐりまくってやろうというゲス企画だったが、最終的には「やっぱキャメロンすげえな」という結果に。

やっぱ世界一の監督だってのも納得だわ。

なんだか、非常に収まりの悪い結果になってしまったけど、詰まるところ「フライングキラーは面白かったです」という結論でシメたいと思います。

 

*1:also known as またの名を、通称、という意味の慣用句。