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眼鏡堂書店

積み上げられた未読本の消化と、ホラー映画100本ノックを目指すブログ。不定期更新のゆるゆるです。

ウォッチメン

ウォッチメン スペシャル・コレクターズ・エディション [DVD]

ウォッチメン スペシャル・コレクターズ・エディション [DVD]

 

鬼才アラン・ムーア原作のアメリカンコミックの映画化作品。

監督は『300』や『ドーン・オブ・ザ・デッド』のザック・スナイダーです。

 

マーベルコミックのキャラクター8時だよ全員集合な『アベンジャーズ』と比べると、この『ウォッチメン』は非常に重たいし、暗いし、政治的。

たしかに『アベンジャーズ』は能天気で子供も安心して見れるお子様ランチ映画。それはそれで映画の持ち味なのでどうこう言う気はありません。

正義のヒーローがそれなりに苦悩して悪を倒す、という世の中の大半のヒーローものへのカウンター&脱構築が、この『ウォッチメン』です。

原作自体が、正義とは何か?と正義への疑問。

『アベンジャーズ』がロキであったり新作におけるウルトロンのような明確な悪は本作には登場しません。『ウォッチメン』のヒーローたちが立ち向かう悪は、時代であったり社会であったり政治。そしてヒーローたちがやっていることも、ただの自警主義。

正義という本質について、非常に皮肉っぽい作品です。

 

第2次大戦からベトナム戦争反戦運動、アポロ計画、キューバ危機、ケネディ暗殺という現代史を縦軸に、ニクソン大統領の再選やヒーロー禁止法というIFの世界観を編み込むという非常に凝った世界観。

そのせいか、トーンは非常に重厚。

このへんが一般層にはウケなかったとか。

うーん、残念(^_^;)

 

本作の軸となるキャラは、自警主義のロールシャッハ、すべてを超越した神的存在のDrマンハッタン、そして、世界の指導者たらんとするオジマンディアス。

特に物語の結末部分で行われるオジマンディアスの選択は、イギリスの哲学者ベンサムとその門弟であるミルによって提唱された『最大多数個人の最大幸福』に基づく選択。

この選択が正しいのか?正しくないのか?というのがハイライト。

圧巻と同時に、すごくモヤモヤするエンディングです。

ヒーローものを通じて、世界の様々なものについて考えさせられます。

 

ただ、アメリカでの公開時はPG指定で、但し書きに”Strong sex and violence"とあるようにコドモは見ちゃダメ!!ですのでご注意を。

あと、ある程度常識的な近現代史を知っていないとちょっとツラい気がするので、やっぱり大人向きです。

 

ウォッチメン』の最大の見どころは、なんといってもオープニングクレジット。ボブ・ディランの「世界は変る」をBGMに近現代史にIFや他の名作映画を交えつつ俯瞰するオープニングは圧巻の仕上がり。

これを観るだけでも、じゅうぶん価値のある作品だと思います。

オススメです。