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眼鏡堂書店

積み上げられた未読本の消化と、ホラー映画100本ノックを目指すブログ。不定期更新のゆるゆるです。

幻想文学講義/東雅夫・編

幻想文学講義: 「幻想文学」インタビュー集成

幻想文学講義: 「幻想文学」インタビュー集成

 

今は無き『幻想文学』誌に掲載されたインタビュー集。

実際手に取ってみると分かるのですが、ものすごいボリューム(^_^;)

厚さもさることながら、お値段の方もなかなか(^_^;)

もちろん、中身のボリュームもかなりのもの。

澁澤龍彦中井英夫という幻想文学の両巨頭に始まり、独文学者の種村季弘、英文学者の由良君美、そのほかにも矢川澄子、紀田純一郎、松山俊太郎、京極夏彦佐野史郎皆川博子笠井潔などなど。

ハッキリいって、超★お得デス。

お買い得デス。

 

ま、それはおいといて。

 

幻想文学”というと一般的なイメージは「何かモヤモヤしてて、不思議な夢みたいなぼんやりした小説でしょ?」という感じだと思います。

これが”幻想文学”への非常に大きな誤解です。

この誤解について、澁澤龍彦中井英夫は選考委員を務めた幻想文学大賞の選評でこのように書いています。

幻想文学は他のジャンルよりも明確なディティールがなくてはいけない。

これは幻想文学に限らず、フィクションというものを扱うすべての作品に言えることで、簡単に言ってしまえば「ウソはいいけど、ウソ臭いのはダメ」ということになります。ありえないウソ(フィクション)に現実味を持たせるには、そのウソの外周(ディティール)を微に入り細に穿った明確さが必要になるのです。

当時から現在まで、この誤解は非常に根強いわけで……。*1

幻想文学ファンのひとりとして、とてもとても残念です(T_T)

 

加えて、今の世の中が実利優先で、読書も「役に立つ」ものか、「感動できる」ものの二極化されていて、どうにも息苦しく感じます。

幻想文学のように、知的な好奇心を娯楽として満たすもの、や、想像する楽しみ、と言ったものがバカにされていて、「知識よりも経験!!考えるより先に、やってみよう!!」とかいう反知性主義が大多数になっているような気が……。

なので、一度原点に立ち返るという意味でも、こういった先人たちの声に耳を傾けるのも必要なんじゃないかなーとか思ったりしました。

 

まずはなにより、非常に豪華なメンツのインタビュー本、というのが第1の感想。

ちなみに2番目は、「た、高い……」。

 

ま、買いましたけどね(自慢)

 

*1:第135回の直木賞で、その年最高の幻想文学安徳天皇漂海記」がノミネートされるも、選考委員の無理解によってあえなく落選。二つの時代がある一点で交錯して全く新しい視点が生まれる、という驚異的な作劇技術も、この当時の選考委員の皆さま(特に北方謙三先生)にはご理解いただけなかったようです。