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眼鏡堂書店

積み上げられた未読本の消化と、ホラー映画100本ノックを目指すブログ。不定期更新のゆるゆるです。

永遠の0

映画【ファンタジー】

百田尚樹のベストセラー小説を原作に、『All Ways 三丁目の夕日』で有名なヒットメーカー山崎貴がメガホンを取った大ヒット映画。

戦後70年を経て、この映画で描かれているように過去の歴史を学び直す機会がやってきたのではないかと思いました。

ストーリーもそうですが、主演の岡田くんの演技に涙ウルウルです♥

 

 

 

 

……なんて書くかボケ!!

何を考えてこんな映画を作ったのか知りませんが、どうしようもないくらい志が低い、ということだけはよく伝わってきました。

だいたい、零式艦上戦闘機の略称は”れいせん”です。”ゼロせん”なんて略しません。

っていうかゼロは英語なのでバリバリの敵国語だし。*1

ここまでで映画が始まってわずか15分も経ってないし。

もう頭痛い。

飛行機の着艦シーンも非常にひどくて、整備兵(?)がゲラゲラ笑い転げてて、規律がないうえに、着艦した飛行機がそのまま。「お前ら、さっさと両翼を畳んで脇に寄せろ!!1機や2機の着艦じゃねえんだぞ、ボケ!!」というガラの悪い罵声を浴びせそうになりました。あのアホどもにはハートマン軍曹の再教育が必要です。ゼッタイ。

そもそも、空母赤城の艦載機は海軍航空隊の華、第一航空戦隊に現場を離れて僚機を置き去りにするような人員が配属されるとは到底思えないし、普通そんなのをどんなに操縦技術があるといっても部隊の中には組み込まないんじゃないですか?組織として、ねえ。

現代的なヒューマニズムというか現代的感覚をその当時の人間に投影した結果、当然齟齬が出るわけで、それをまったく精査しないまま作っちゃたのが、この『永遠の0』。

「あの戦争は間違っていなかった!!悪い戦争ばかりじゃない、戦争には良い戦争もあるんだ!!」

とかいうことを言いたいんでしょうけど、本末転倒。

ここに主演した俳優や監督や原作者は、いざ戦争になったときに戦地には、最前線には行かない人たち。そういう連中の世迷言に付き合ってやるほどヒマでもなければお人よしでもないので、どんどん気持ちが冷めます。

”戦争と個人”を描くのが戦争映画の本質的役割だと思うのですが、この『永遠の0』というシロモノはそれすら見ていない気がします。

プライベートライアン』『フューリー』『アメリカン・スナイパー』など。

戦争という巨大なシステムに飲み込まれた人々の悲劇を描き、それを決して繰り返してはならない、というのが戦争映画の役割なのに。

一番イヤなのが、自分の妻と子供をあっさり友人に託すところ。犬や猫じゃないんだからさ。なんなの、それ。完全にモノ扱い。しかも美談めかしてるし。最悪。

 

極めつけは、この映画を作ったのが東宝だというところ。

かつてGHQの度肝を抜いた『ハワイ・マレー沖海戦』を作った会社が、こんなクズ映画の片棒担いじゃダメでしょ!!


1942『ハワイ・マレー沖海戦』特撮ダイジェスト(円谷英二) The special effects ...

 

(広義における)戦争映画で印象的なのは、個人的に『続・夕日のガンマン 地獄の決斗』。


日本語吹替完声版収録『続 夕陽のガンマン MGM90周年記念ニュー・デジタル・リマ ...

映画の中で南北戦争での無意味な総力戦を前にしたトゥーコの台詞が、戦争という現象の本質をついているように思います。*2

反戦ではなく、戦争をヒロイックに描いて平和主義を臆病者と嘲笑うセンスの無さは、さすが百田先生。

売れ出した辺りから、高いワインとクラシックを嗜みだすという非常にダサい洗練されたダンディズムはさすがです。

至高の音楽  クラシック 永遠の名曲

至高の音楽 クラシック 永遠の名曲

 

 

偉くなると人間変わるものですね。

昔、先生みたいな人に対して、太宰治はこんなことを言ってましたよ。

事実、私は憤怒に燃えた。幾夜も寝苦しい思ひをした。小鳥を飼ひ、舞踏を見るのがそんなに立派な生活なのか。

(中略)

刺す。さうも思つた。大悪党だと思つた。

 刺されりゃいいのに。

 

安保法案を強行的に通すためのプロパガンダ映画なら、それらしく丁寧にちゃんと作ってもらわないと。

『硫黄島の砂』とか『パットン大戦車軍団』とか『意志の勝利』とか、映画としてはちゃんと作ってあったのに。

 

最後に。

 

個人的に、特攻隊とジャニーズの組み合わせの悪さといったらもう……。

キムタクの特攻映画*3で懲りたんじゃないのかよ!!

更に輪をかけてヒドいのがきちゃったよ!!

戦後70年の節目(公開は去年だったケド)にコレ。

もうダメだ、この国。

 

 

【追記】

町山さんの映画塾より。

戦争を起こした当人たちはどんなにそれが激化してものらくらしてる。何の責任を取ることもなく。いざ戦争が起こり、そして、それが終わったとき、そいつらは声をそろえて悲しい声色でこう言うに決まっている。

「私は反対したんです。戦争なんて反対だったんです」


町山智浩の映画塾!「仁義なき戦い」 <復習編> 【WOWOW】#113 - YouTube

 

*1:冒頭でアメリカ軍の無線で「ゼロ戦が来たぞ!!」みたいな台詞があるけど、原語で「ゼロ」って言ってる。……アメリカ海軍での零戦のコードネームは「ゼロ」じゃなくて「ジーグ」が正解。こんなもん、ネット検索で簡単に出てくる程度なんですケド。

*2:「こんな命のムダは見たことがねえぜ」

*3:個人の嗜好の問題だからとやかく言いたくないけど、こんな映画繰り返し見てるとバカになるぞ!!


村長の映画って良いですよね のコーナー。映画「君を忘れない」 - YouTube