読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

眼鏡堂書店

積み上げられた未読本の消化と、ホラー映画100本ノックを目指すブログ。不定期更新のゆるゆるです。

ヘヴィメタル・イン・ザ・カントリー

映画【ドキュメンタリー】

 

ヨーロッパ最大のヘヴィメタル専門レーベル『ニュークリア・ブラスト』のドキュメンタリー。

このドキュメンタリーの面白いのは、このニュークリアブラストが本拠地を置いてるのが、ドイツの北部にある本当に小さくて長閑な何の変哲もない村だというところ。

メタルと田舎という絶対に相容れないようなものが、この村の中でどのような位置づけになっているのか?というのは、ぜひ見てのお楽しみ。

地域振興に必要なのは、異業種間交流とか世代間交流とか声高に市民行政問わず叫ばれてるけど、実際それって行われてるのかな?と思います。

よくそういうフォーラムとか会議とか講演会で必ず言われるのは、

・若者

・よそ者

・バカ者

が必要なんですよ~ということ。コレ、必ず言われます。話のむすびとかで。

でも、実際、こういう人たちに何かを任せて地域の将来を託そう、って考えないんですよね。それだけ、地域社会(田舎とか都会とかそういう問題ではなくて)は閉鎖的。

gated communityという言葉があるけど、気心の知れた素性のわかる人たちだけで、閉鎖された小さな集団社会を作りがち。それは世界中どこの国、どこの地域でも同じわけで。

ある意味、それを多少なりとも壊して見せた、というところにこのドキュメンタリー映画の面白さがあります。加えて、このニュークリアブラストというメタル専門レーベルが村にやってきたことによって、実際に雇用が生まれ、経済が回り*1、村の振興に一役買っているという。

加えて、じーちゃん&ばーちゃんたちが絶対聞かないメタルというものが異分子的に入ってきたことによって、「最近の若者は……」とか言ってた世代が、「あの長髪でタトゥだらけの連中は何なんだ?」と注目するようになり、えてしてメタルのミュージシャンは礼儀正しいので*2、じーちゃん&ばーちゃんの見る目も変わってくる。

この辺は、完全に(意図したものではないにせよ)世代間交流ですな。

最も注目すべき点は、このレーベルがやってきたとき、村にはバッティングする業種がなかったというところ。企業誘致で振興を図る、というのは常とう手段としてよく聞く話だけど、大抵そういうのは地場産業にダメージを与えがち。*3

でも、この場合は地場産業に全くノーダメージ。

まあ、完全に異分子だしねえ。この会社。

 

正直、このニュークリアブラストが町の人にどれくらい理解されてるのか?という疑問は最後まで残ります。ただ、この明確な異分子がこの小さな村の経済なり状態に一石を投じたのは紛れもない事実。

たしかに、素人目に見てもこんな利便性に乏しい村に、ヨーロッパで1.2を争うメタルレーベルが居を構える意味なんて、コストが安いというただそれだけしかないのは間違いない。でも、ネット回線さえあればグッズの通販はできるのであって、それを考えると土地や建物のコストが安い地方にオフィスを構えるのは正解かも。

 

なにげに地方創生や地域振興についての一例を挙げるドキュメンタリー。

ただ、これを成功の一例としてバンザイするのはちょっと早い気が。

見れば分かるんですけど、この映画で語られる内容はあくまでも現在進行形。

成功した、という結果ではないのは頭に入れておく必要があります。

 

そうは言いながらも、メタル者の端くれとして、「メタルってとにかく不況に強いんだな」と思わずにはいられませんでした。

チョコチョコ挟まれるニュークリアブラスト所属のバンドのライブとかPVには、ディム・ボガーやナイトウィッシュ、アモン・アマース、ソナタ・アークティカが登場。

豪華といえば豪華なんだろうけど、所属アーティストだしね。意外と安上がりなのかもね。このドキュメンタリー。

*1:※所属するミュージシャンがやってくるので、食事や宿泊などの必要が生まれる。

*2:※メタルは高度な演奏テクニックが求められるうえに、先人へのリスペクトが非常に強いジャンルなので、必然的に誰に対しても礼儀正しくなる。というか世間の逆風に立ち向かう為にはそのくらいの礼儀正しさはマストなわけで。

*3:※この辺のことはドキュメンタリー映画『ウォルマート 激安の代償』に詳しい。