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眼鏡堂書店

積み上げられた未読本の消化と、ホラー映画100本ノックを目指すブログ。不定期更新のゆるゆるです。

14ひきのとんぼいけ/いわむらかずお

 

14ひきのとんぼいけ (14ひきのシリーズ)

14ひきのとんぼいけ (14ひきのシリーズ)

 

家の中を整理していたら出てきた懐かしい本。

小っちゃいときに読んでたなあ、と思って読み返してみました。

絵本を読むのなんていつ以来だろ?

とにかくそのくらい久しぶり。

子供向けなので、絵がすごく大きな面積を占めていて、お話もあっさり風味。

14匹のねずみ家族の1日の風景がほのぼの描かれています。

この本のイメージは家族旅行とか遠足みたいな感じ。

 

絵本の細かなストーリーについてあれこれ書くのもなんか野暮ったいので、この本をきっかけにして思ったことを、ちょこちょこと。

 

この14匹のねずみ家族は、いわゆる3世代同居。

おじいちゃんとおばあちゃん、おとうさんとおかあさん、そしてこどもたちが10匹。

21世紀の今、こういう設定のものが子供に読み聞かせる親たち世代にとって、ファンタジーになってるんじゃないか、と不安になります。

全国的には3世代同居の家庭というのは少数派になりつつあるし、”家族”という集団そのものに対する信頼が非常に薄れている現実。

未婚率や上昇や出生率の低下というものにそれが顕著だ、と言われていますけど、個人的には、マンガとかアニメの世界にそれが顕著な気がします。

たとえば、クレヨンしんちゃんサザエさんの視聴率が右肩下がりに下がっているという紛れもない現実。単純なテレビ離れというよりも、アニメの中ですら家族の姿という者に対して幻想を抱けない世の中になっている気がします。

世間だったり世相が、”勝ち組or負け組”という非常に暴力的な分け方が横行していて、どんな集団においてもカースト制みたいなランク付けが形作られるのが当然みたいな風潮。世の中が「二進法で白黒はっきりさせなければ」というような強迫観念に溢れているような。

 

そういう世の中だからこそ、こういう絵本が、小さな子供を持つお母さんであったりお父さんたちの中でどういう風に捉えられているのか、ちょっと興味があります。

3世代同居は少数派だし、身の回りに自然が広がっていたり、子どもたちが大きな声を出しながらのびのびと遊べる空間……。

保育所とか幼稚園が「騒音公害」みたいな風に言われるこの世の中じゃ、完全なファンタジーだよね。ねずみが主人公とかいう以前に。

www.eqg.org

景気は上向いているのかもしれないけど、でも子供を安心して育てられる時代か?と言われるとそうだとは言えないし。

家庭のあり方や家族のあり方が時代とともに変化していくのは当たり前のことだし、当然のことだとは思うけど、なんだか、世の中全体が変わってはいけないものまで利益優先で変えてしまっているようにも感じます。

加えて、この本のようなゆっくりとした時間の流れ、というのも今ではなくなってしまった気が。忙しい、のは確かだけど、その世の中的な忙しさが本当に必要な忙しさなのかな?と考えたりもします。

本来必要なはずの余白の部分はムダとレッテル張りされ、そのムダな部分に過剰に何かを詰め込みすぎているというか……。それが社会全体の余裕のなさの原因なのかもしれません。

 

政治的にも情緒的にもギズギスしてる世の中だから、こういう本が普通に読まれててほしいし、子どもたちがいっぱい手に取ってほしいな、と思いました。

なにより、絵柄もふんわりしていて、心がほっこりします。

 

【追記】

「懐かしいなあ」と読み終えて奥付を観たら、出版は2002年。

……ちょっと待て、いつ我が家にやってきたんだ?この本!!