眼鏡堂書店

積み上げられた未読本の消化と、ホラー映画100本ノックを目指すブログ。不定期更新のゆるゆるです。

パシフィック・リム

 

パシフィック・リム [DVD]

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今回取り上げるのは、皆さんお楽しみ♪

ギレルモ・デルトロ監督のSFバトルアクション映画『パシフィック・リム』です♡

 

作品のあらすじをざっと書くと、

て、敵は海中からやってくるんだぁあああアアア!!*1カイジューを巨大ロボで迎え撃て!!

僕が君を守って見せるぅぅぅぅッ!!

 

といった塩梅です。

「あらすじになってねえ」と思ったかもしれません。

でも、この『パシフィック・リム(以下パシリム)』を観た人なら分かりますよね? この説明でだいたいあってることは。

いずれにせよ、ストーリーは非常に単純で、巨大ロボットVS巨大怪獣でガオーン!!スギャーン!!グオーン!!なのでヒネリとか伏線とかそういう要素は皆無というステキ仕様。

おかげさまで世界中の残念な人たち大きなお友だちを中心に大ヒット。雑誌『映画秘宝』では文句なしのベスト1に輝きました。おめでとう!!パチパチ

 

褒めちぎる気になればいくらでも褒めちぎれるのですが、あえてここは、この映画の雄一にして最大の欠点をますは上げておきたいと思います。

それは、短い、ということ。

約2時間もあって短いって!!と思うかもしれませんが、それは時間的なことではありません。

この作品は1本の映画というよりは、30~40話くらいのアニメ作品のダイジェストみたいな気がします。

さらに言うと、1話目の最初の15分と終わりの3話分をムリヤリくっつけたような映画です。

シリーズものならもっと色々ゆっくり楽しめたような気がしますが、それを無理やりくっつけてしまったので、端々に説明不足というか「何となくはわかるけど…」というような不完全燃焼かトコロがチラホラ。

例えるなら、『マジンガーZ対暗黒大将軍』のグレートマジンガーが出てこないバージョンみたいなものデス。

……この例えは、分かる人だけ分かってくれればいいです。

 

それはそれとして、これだけのド迫力のロボ映画なのに製作費はそんなに高くありません。なぜなら、デルトロ監督にとって、この映画がメインの企画ではなかったから。

この映画製作前まで、デルトロ監督は崖っぷちにありました。

彼がメインに据えていた企画は2本。

1つ目が『ホビットの冒険』。

言うまでもなく『指輪物語』シリーズの外伝的作品なのですが、指輪の監督であるピーター・ジャクソンが製作に回り、デルトロ監督がメインライターになるはずでしたが、諸事情から降板することに。*2

2つ目がラヴクラフトの『狂気山脈』の映画化。これもいいところまでいったものの、打ち切りになりました。*3

その崖っぷちの最中に作られたのが『パシリム』。結果的に3番手の企画だったので、このテの映画にしては予算が低い作品となったのでした。

 

それはそれとして、非常な大迫力な作品です。

メカや怪獣の重量感や、煽り構図によるスケール感。

最近のスタイリッシュなロボットアニメの流行に対して全力で逆行して見せるような非常に漢らしいスピリットにあふれています。

その証拠、と言っていいのかわかりませんが、いわゆるビーム兵器なんてジプシーデンジャーのプラズマキャノンだけ。他は基本的に格闘オンリー。

遠距離武器などという概念は基本的に存在しません。

このノリは完全に70年代のダイナミックプロ系列のロボットアニメ。ガンダムとかマクロスみたいな80年代のスタイリッシュさは皆無といっていいでしょう。

例外的にパイロットスーツがエヴァのプラグスーツっぽいですが、「あれは脚本のトラビス・ビーチャムの趣味。ボクはエヴァンゲリオンは見てないんだよね」と、あくまで言い張るデルトロ監督はいっそすがすがしいです。こんな見え透いたウソは久しぶりに聞いた気がします。

 

もちろん、カイジューとイエーガーの戦闘シーンはCGなわけですが、中盤にある香港海上決戦での水の表現は圧倒的。

初見時に、ただただ口をあんぐりあけてバカみたいな顔で見てました。

 

映画を見る喜び=これまで見たことのない圧倒的な映像表現、という公式に当てはめるのなら、この作品はまさにドンピシャ。 

巨大ロボットなんて幼稚だ、とか、ストーリーがない、とかそういうのはどうでもいいので、絶対に見ておくべき一本です。

特に、小さな男の子をお持ちのご家庭の方は、絶対に見てほしいと思います!!

もっとも、それでお子さんが道を踏み外したとしても、眼鏡堂書店は一切責任を負いませんので、あしからず。

 

パシフィック・リム』、オススメの一本です!!

 

 

*1:ドイツの作家フランク・シェッツィングによる長編海洋冒険小説『深海のYrr』(上中下)もだいたいこんな内容。

*2:製作費がかかりすぎる、というのが主な理由。映画はピーター・ジャクソンが監督を兼任。ただし、デルトロは脚本に名前をクレジットされている。

*3:同時期に進行していたリドリー・スコット監督『プロメテウス』にデザイン的な類似点が非常に多く見られたため。ちなみに双方ともラブクラフト作品とH・R・ギーガーをメインコンセプトに据えていた。