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眼鏡堂書店

積み上げられた未読本の消化と、ホラー映画100本ノックを目指すブログ。不定期更新のゆるゆるです。

ジーザス・キャンプ ~アメリカを動かすキリスト教原理主義~

 

 

眼鏡堂書店をご覧のみなさん、眼鏡堂主人です。

今回取り上げるのは『松嶋×町山 未公開映画を見るTV』で放送された問題作『ジーザス・キャンプ ~アメリカを動かすキリスト教原理主義~』です。

本作の感想などをつらつら書きながら、いい加減オワコンになりつつある森友学園騒動の何が問題なのか?についても触れていこうと思います。

 

ジーザス・キャンプってどんなドキュメンタリー?

ジーザス・キャンプは2006年の作品。

で、その概要は……

 

ジョージ・W・ブッシュ政権下のアメリカで、キリスト教福音宣教会が主催する子供のサマーキャンプを追ったドキュメンタリー。子供たちは聖書に書いてあることがすべて真実だと教えられ、音楽や踊りでトランス状態になり、妊娠中絶反対を叫び、キリスト教原理主義を推進するブッシュを信奉するようになる。キャンプの主催者であるベッキー・フィッシャー(英語版)へのインタビューや、キャンプの内容から映画は構成されている。
第79回アカデミー賞ドキュメンタリー映画賞にノミネートされた[2](受賞は『不都合な真実』)。”(※ウィキより転載)

 

大量破壊兵器保有しているという名目のもとで始めた、デタラメ極まりないイラク戦争を筆頭に、大きくアメリカの国力を後退させたブッシュ政権ですが、世界中の人々を驚かせたのは何といっても、これだけめちゃくちゃな政権運営だったにも関わらず、イラク戦が泥沼化した最中の大統領選で再選されてしまったこと。

ブッシュ政権という悪夢の始まりですね。

なぜ、あの政権が再選されたのか?というと、そこに絡んでくるのが本作『ジーザス・キャンプ』で取り上げられているキリスト教原理主義者(福音派)たち。

ブッシュ大統領は彼らと結託することで再選されたのでした。

 

キリスト教原理主義的に信仰する福音派は、アメリカの人口の25%を占めるため、彼らの動静一つで大統領や議員の当落が決定してしまいます。

政教分離の原則というのが政治の世界にはあるわけで、特定の宗教信条に偏ることなく政治を運営していかなければならないというのが本筋なわけですが、そんなことは政権維持のためにはあっさり無視されるわけです。

 

そんなブッシュ政権の支持母体である福音派教会の子供サマーキャンプがまたすさまじい。

ざっと紹介すると……

 

 

  • 宗教を学校から切り離した政府を攻撃して、子供たちにハンマーで「GOVERNMENT」と書いたコップを割らせ、「この国に巣くう悪魔の力を打ち砕け」と教える。

 

  • ジョージ・W・ブッシュ大統領(当時)の等身大の立て看板を見せて、挨拶させて、「神のもとに国を統一」と叫ばせる。

 

  • 子供たちに「アメリカで中絶が禁止されるよう声を上げろ」と言い、「神よ、中絶を禁止し、アメリカに信仰復活を」「正しい判事を」と叫ばせる。

 

 

明らかに常軌を逸した光景が次々に展開するため、ただただ絶句。

中でも強烈なのは、このババアフィッシャー女史。

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いきなり「ハリーポッターは悪魔の使いザマス、処刑するべき!」って、子供たちに向かて演説するフィッシャー女史は明らかに狂っているとしか思えないのですが、本人はいたって正気。

というよりも、確信犯的に子供たちへの宗教洗脳を行っているのが余計に怖い。

 

信心深いのは結構だけど、ただ一つの価値観、ただ一つの正義しか基準を持たないように教育された子供たちがどうなってしまうのか?

 

大国だったアメリカはこうして崩れていくのだなあ……という具合で、対岸の恥を見るようにして「ま、日本はこうならんだろ。多宗教だしね」と暢気に構えることもできたのですが……

 

森友学園は何が問題なのか?

 

そこでやってきたのが、例の『森友学園問題』。*1

戦前の愛国教育を子供たちに行っていたことや、安倍政権とのパイプでもって国有地を格安で購入していたことが大きく問題になったわけですが、この一件について、眼鏡堂は重大な問題はもっと根深いところにある、と思っています。

それは、安倍政権(というよりも政権与党としての自民党)が、この国を将来どのようにしていきたいのか?というビジョンです。

このジーザス・キャンプと森友学園問題での政治家の皆様の発言、政治の動き等々とを照らし合わせると、気持ちのいいくらいにそれが見えてきます。

 

本作の中で、フィッシャー女史はなぜ子供たちに福音派の教えを叩き込むのかについて、こう語っています。

世界の約67億人の人口の3分の1が15歳未満の子どもである、そこに狙いを定めるべきと。

その理由は、いうまでもなく自分たちの信者獲得と、その子供たちが成人になり福音派が推薦する候補に間違いなく投票し、教義に一切の疑いを持たない人間になるから。

このサマーキャンプは、そのための養成施設なのです。

 

で。

話を日本に戻します。

 

政権を掌握して絶対に放したくない方々は、盲目的に自分たちのことを支持する集団が欲しくてたまりません。そのために一番手っ取り早いのは、世間を知らない子供たちを、大人の理屈で洗脳してしまうこと。

併せて、投票年齢が18歳に引き下げられたことを考えると、それが急速に進められている気がします。18歳は世間がよくわかっていない子供なので、投票の時は「自民党の人(最大与党の人)に投票すればいいんでしょ?」と考えるはず。

でも世の中そうそううまくはいかず、また政権を握って放したくない人たちはそれでは不十分だと思ったらしく、水面下で更なる作戦を展開します。

 

それが例の愛国教育問題。

森友学園系列の幼稚園小学校で、例の愛国教育を洗脳的に施すことで、自民党の支持基盤を確立させることが、たぶんこの問題で多くの自民党政治家がかかわっていた理由なのではないかと。(今すぐにではないが、将来的に自民党に投票する=投票する、と信じて疑わない成人が完成する)

そう仮定すると、安倍総理婦人の「普通の公立小に入れると、ここ(塚本)で得たものが揺らぐ」*2

自民党が推進しようとする愛国教育以外の価値基準を持たれると、将来的に自民党に投票してくれないどころか、いろいろな世界があることを知ろうとしてしまい、従順に従う国民ではなくなってしまいます。

なので、ガキの頃から徹底的に洗脳すると同時に、その親世代も併せて洗脳してしまおうというのが、主たる目的。

正直、教育勅語や五箇条の御誓文を幼稚園児に暗唱させる程度のことは、教育基本法云々に触れるか触れないかという実務的な問題であって、本来的な問題ではないような気が。

なにより一番の問題は、特定の人種・民族を敵視し、特定の人物を崇拝させること。

絶対的な崇拝の教養と、敵を作ることは独裁体制と洗脳の基本テクニック。

 

独裁者が常々考えていることは、我々国民の悪夢なので、総理婦人もそんな本音がぽろっと出たんだとおもいます。

死ねババアもう、お茶目さんなんだから★( *´艸`)

 

常識的に考えて愛国心というのは醸成されるものであって、育成したり作成したり、教え込ませるものではありません。あと、別に幼稚園児に教育勅語を暗唱させるのもいいでしょう。でもそれをダシにして特定の国民、特定の民族を貶すのははっきり言って間違っています。

たぶんあの幼稚園は普通のお勉強の中で「みんな仲良くしましょうね」とか「困っている人がいたら助けてあげましょうね」とかやってるんだろうけど、その舌の根も乾かないうちにいきなり特定の人間を貶しまくるという。

自己矛盾も甚だしいというか、もう教育機関じゃないよね、って思います。

実際、作ろうとしていたのは教育機関ではなくて自分たちを盲目に指示する若者を製造するための工場。

美しい国へ』という本を書いた方の目指す”美しい国”というのは、そういう国のようです。

 

 

いま、その先にある悪夢

 

森友学園にせよジーザスキャンプにせよ、見ていて感じるのは何といってもナチスドイツ。

どちらも価値観が一つしかなく、それから外れたものを一切認めない。

そんなヒトラーユーゲントみたいな子供たちが大人になったとき、どんなにか美しい国が出来上がっているのだろうと思うと、まったく素晴らしいとしか言いようがありません。

実例で言えば、ドキュメンタリー映画アクト・オブ・キリング』。


『アクト・オブ・キリング』予告編

共産主義は悪である、という喧伝の元で行われた民族浄化

その被害者は無関係な人間が大半で、その殺害に関わった人間は政権側の人間だったからこそ、今でも英雄扱いされているという醜さ。

 

あるいは純粋な美しい国を造るために、子供たちを教育した結果どうなったか?

ミヒャエル・ハネケ監督の『白いリボン』をみて背筋が寒くなるのは、そういったことが起こりうる可能性が十二分にあるから。


「白いリボン」予告

 

いずれにせよ、多様性を認めず、自国の文化を称賛するために他国の文化を貶すのがまかり通るような世の中なんてろくなもんじゃない。

文化や宗教に優劣はないし、否定も肯定もしない。

相手を受け入れる寛容さが、どうにも最近は欠落しているような気がする。

というか、持っているとダメっぽい。

 

オリンピックとかいういい加減世界的には完全にオワコンな興行に税金を突っ込んで国民の意識を高揚させようとかいう風に動いてるみたいだし、要は終わりだな、この国。

 

というわけで、森友学園は幼稚園児と先生が安倍晋三総理大臣閣下の等身大パネルに拝み倒す、というくらいまで持ってこないとまだまだジーザスキャンプの高みに到達しないので、ドンドンやればいいと思います。

大体、あの学園、世界に関たる美しい国日本の国旗を画鋲で留めてるとか、今上陛下の御真影を掲げあそばしてないとか、イチイチ愛国心が足りねえんだよ!

 

あと、あそこの学園の皆さんは”朝礼時に軍人勅諭を暗唱してますよ”くらいの勢いがほしかったです。

(※再び登場するクソババアフィッシャー女史)

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なんだかグダグダなまとめになりましたが、本作は何といってもこのババアフィッシャー女史に尽きるな、と思いました。

 

ナチュラルに殺意のわくとてもすがすがしい作品です。(*'ω'*)

*1:2017年4月に新設予定の瑞穂の國記念小學院は建設地の払い下げ問題、安倍昭恵夫人の名誉校長辞任など、様々な問題が報道されている。

*2:2015年9月5日土曜日の塚本幼稚園の教育講演会に登壇した時の発言。このとき彼女は名誉理事長職に就いていた。