眼鏡堂書店

積み上げられた未読本の消化と、ホラー映画100本ノックを目指すブログ。不定期更新のゆるゆるです。

シン・ゴジラ

 

シン・ゴジラ DVD2枚組

シン・ゴジラ DVD2枚組

 

 

DVDで鑑賞。

 

すごいすごいとは聞いていたけど、今さらながら鑑賞。

確かにすごい映画!

たしかにこの直前の『ゴジラFINALWars』が北村龍平監督だというのもあって、正直ちょっと、という感じだったけど、それとは完全に別物。

というか、最初から最後まで全く中だるみなく、手に汗握るまま一気に最後まで魅せてくれる傑作じゃないの?これって!

 

そんな鼻息荒い個人的な感想はこれくらいにして。

 

何度も見直すうちに見えてきたのは、庵野秀明監督が、とにかく自分の好きなものを詰め込んできたな、というところ。

確かに、自身の『エヴァンゲリオン(TV版)』における『ヤシマ作戦』のくだりであるとか、彼が尊敬する岡本喜八監督の『日本のいちばん長い日』みたいな印象が所見時にすごく感じられたけど、何回も見直すうちに、冷静になってきたのかほかの作品に対する言及があるようにも感じました。

例えば、全てのカギを握る教授がすでに死んでいて、彼が事態を解決するための秘密を謎めいた形で残しているくだりは、押井守監督の『機動警察パトレイバー(劇場版)』の帆場栄一みたい。

あと、矢口代理がヤシオリ作戦に従事する人たちに向けて話すシーンとその内容は『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』におけるブライト艦長の「みんなの命をくれ」に通じるものが。

でもそれよりなにより何度も見たくなって、そして何度もぐっとくるのは、未曽有の大災害が起きた時、(たとえ理想の上であっても)国や政治家や国家機関が国民を守るために死力を尽くしてくれる、国民を守るために最後の最後まで頑張ってくれる、というのが垣間見えるから。

もちろんそんなのはフィクション上の出来事でしかないのだけれど、結果や家庭はどうあれ、東日本大震災が起きたあの時、みんなそうして(その時取りうる)最善の手段を講じて不眠不休で頑張ってくれた、という記憶がまだ生々しいからかもしれない。

 

では、いまはどうか?というのをここでつらつら書くのは無粋極まりないから書きません。

 

最近の邦画はあんまり好きではないから、というのを差し引くとしても、久しぶりに大当たりを引いたような気がします。

虚構と現実は違う、とんなことは分かり切っているけれど、でも、まだこの国は捨てたものじゃない、せめてフィクションの中だけでもそんなことが見て取れるなら、まだまだこの世界は救いがある、そんな風に思ったのでした。

もっとも、それはあくまでもフィクション上のことであって現実はどんどんと悪い方向に進んでいくことは間違いないと思います。

だからこそ逆説的に、こういう映画に希望を見出してしまいたくなるのかもしれません。

息つかせぬ傑作とはこういうのをいうのだな、そんな風に思いました。

今回のゴジラの黙示録的なたたずまいが余計にストーリー的な緊迫感を生みだしていて、全体がフェイクドキュメンタリー的な手法をとっているからこそ余計に、現実的なものとして見ていました。ホントに、いろんな意味でリアルな映画。

 

でも、ちょっと思うのは一部の役者の演技の温度差について。

よく言われる石原さとみは正直問題にするほどじゃないと思いました。逆に違和感がない、というか、そういうキャラクターなんだな、と簡単に受け入れられたところです。

でも、高橋一生が個人的にちょっと……。今の大河ドラマでも正直、大根極まりない感じで、所詮顔だけの役者なんだな、と思ってたんですが、こっちはもっとひどい(笑)

演技がホントに学芸会レベル。高校演劇の役者だってもっとナチュラルな芝居をするっつーの!そこだけが個人的に唯一のノイズでした。正直、一人だけ演技が浮いてる印象です。……もしかしたら、そういう演出なのかもしれないけど。

 

何はともあれ、未曽有の大災害に立ち向かう群像劇、という感じで何度見ても飽きない映画。特撮映画や怪獣映画もまだまだ捨てたもんじゃない。

面白くて興味を惹かれるだけでなくて、見終わった後にいろいろと考えさせられるという点でも、大人から子供まで等しく鑑賞に堪えうる稀有な映画だと思いました。