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積み上げられた未読本の消化と、ホラー映画100本ノックを目指すブログ。不定期更新のゆるゆるです。

世界の駄っ作機/岡部ださく

 

世界の駄っ作機

世界の駄っ作機

 

 模型雑誌『モデルグラフィックス』に連載されていた、軍事評論家・岡部いさくさんによる航空機評論集。

 

光あるところに影があるように、傑作機の陰に駄っ作機あり。

そんな具合に、激動の航空史の中で箸にも棒にも掛からず消えていったポンコツ飛行機が続々登場。ざっと章ごとのキャプションを見るだけで、「よくもまあ、こんなのに大金かけてつくろうとしたな」とあきれるやら苦笑いするやらで。

期待を裏切らないイギリス人という鉄板ネタにつづき、急に戦争に巻き込まれたため何かというとすぐに試作機を作りたがるフランス人、同じく急に戦争になった混乱からわらにもすがった結果、バカバカしく始まり陰惨に終わるロシア人と、各国駄っ作機に振り回されて悲喜こもごも。

 

そんな駄っ作機が出来上がる特徴としては…

1 そもそもの発想が間違っている

2 要求が無理難題(そもそも実現不可なのに、メーカーが安請け合いする場合も)

3 冷静な判断がないまま、慌てて作った

4 要求の重要性が低いのに、なんとなく作ってみた

5 ひたすら保守的か、逆にやたら先鋭的

こうしてあげてみると、そりゃそうだと思いますが、一般社会でも結構こんな状況に陥ってませんか?

 

んでもって、3流メーカーやマイナーな会社が作ってる、という印象がありますが、ところがどっこい、超一流メーカーでもけっこうやらかしがあったり。

代表的なのはやっぱり、名設計家ケリー・ジョンソンを有するロッキード社。この一流メーカーでも、ジェット戦闘機開発でのっけからつまづいてしまい、XF-90という箸にも棒にもかからない飛行機を作ってしまいました。

 

なにはともあれ、飛行機は男の子のロマンなので、みんなその夢に向かって走り出したのはいいけど、おいおい道間違ってるよ!とは走ってる当人たちは気付かない。

悲しくもバカバカしく、そしてしょうもない駄っ作機の数々とそれにまつわるエピソードは必読です。

巻末には著者と宮崎駿監督の対談が収録されていて、映画『風立ちぬ』を見てから読むと感慨が倍増するかもしれません。

 

惜しいのは、文中に出てくるエンジンや航空用語の数々についてあまり説明がないこと。はっきり言えば、飛行機の模型を作ったり、航空雑誌と読んでる人を前提にしてるわけで、もうちょっと初心者に優しくてもいいんじゃないかな?とも思いました。おわり。