眼鏡堂書店

積み上げられた未読本の消化と、ホラー映画100本ノックを目指すブログ。不定期更新のゆるゆるです。

犬狼都市(キュノポリス)/澁澤龍彦

 

澁澤龍彦初期小説集 (河出文庫)

澁澤龍彦初期小説集 (河出文庫)

 

仏文学者で翻訳家、そして小説家でもある澁澤龍彦

その澁澤龍彦がキャラクターとして登場するアニメ映画『文豪ストレイドッグス デッドアップル』の公開を記念して、今月の眼鏡堂書店はマンスリー・ドラコニア・フェスティバル(月間・大★澁澤龍彦まつり)を開催しようと思います。

というわけで、栄えある第1回は初期小説から、代表作(だと思う)『犬狼都市』をチョイスしました。

 

作家としての澁澤龍彦というと、オカルトや魔術、幻想などにいろどられた異端文学の人、というイメージや、膨大な知識量に支えられた博覧強記の人、という感じ。

中でも今回取り上げる『犬狼都市』は、非常に耽美で不可思議かつエロティックな小説です。

”ザ・幻想文学”とでも言わんばかりの壮大かつイマジネーション全開の耽美な小説。特に文章が非常に洗練されているので、物語の中心を貫く”あること”についてもため息が出るような硬質で洗練された表現でストーリーが展開していきます。

 

あらすじはというと…

魚類学者の娘、麗子は一匹のコヨーテを飼っている。
ファキイル(断食僧)と名付け、高貴で猛々しいその獣と交歓する麗子。
婚約者からダイヤモンドの指輪を渡された夜、麗子は不思議な夢を見た。

 

正直、このあらすじについて特段の意味はないです。

というか、あらすじで読んだ気になっては絶対に欲しくない。

『犬狼都市』という作品自体、短編なのですぐ読み終えることができます。

だからこそ、絶対に読んでほしい。そんな風に眼鏡堂は思うのです。

単純に、それは眼鏡堂が大のシブサワファンだから、ということからなのですが。

 

個人的に澁澤作品は後期の小説から入ったので、代表作ですよ!と勧めておきながら、実際に読んだのはずいぶん経ってから。

田舎ではなかなか澁澤龍彦の本って売ってなくてねえ…(シミジミ)

 

とはいえ『犬狼都市』。

このタイトルの漢字の並びも完璧なら、それを「キュノポリス」と読ませるセンスも最高。

神話的歴史のものがたりと、現在の時間軸上で展開する物語とが、まるで糸をより合わせるように絡み合い、そこから新たな歪で美しい小説世界が誕生していく。

後期の小説群が日本の古典物語から本歌取りして展開するものなのに対して、初期作品群はヨーロッパやギリシャ、エジプトなどの海外からの本歌取りからの展開。

かといって、単なる焼き直しではなく、そこはしっかりと澁澤印が刻まれているという。

下手をすれば、じっとりと湿って、悪い意味でいやらしくなりそうなのにもかかわらず、非常に硬質で明瞭、かつ純粋で煌びやかな文体と文章表現。

ホント、ほれぼれするような作品です。

若書きの、気負った部分が改めて読むと感じられるのですが、それが物語全体のトーンを全く損なっておらず、それどころか作中における朝倉家の貴族的な生活と相まって、全体の雰囲気をデカダンに盛り上げてくれているような気がします。

 

繰り返しになってしまいますが、『犬狼都市』は澁澤龍彦の代表作の一つと言って過言ではないので、アニメで興味を持った人は是非とも呼んでほしいな、と思ったところです。以上、おわり。

 

【追記1】

コヨーテってどんなんだっけ?という人のために。

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狼よりも鼻が長くて、痩せてて、足が長くて、白っぽい(ような気がする)

なるほど、澁澤さん好みだわ。

 

【追記2】

文豪ストレイドッグスを製作した角川書店、さっそくメディアミックスだかタイアップを開始。しかし、初期の小説は一切入ってません( ;∀;)

完全にコレクターアイテムやん!

誰が買うんだよこんな本!(※買いました)

ドラコニアの夢 (角川文庫)

ドラコニアの夢 (角川文庫)