眼鏡堂書店

積み上げられた未読本の消化と、ホラー映画100本ノックを目指すブログ。不定期更新のゆるゆるです。

文豪ストレイドッグス デッドアップル


映画「文豪ストレイドッグス DEAD APPLE(デッドアップル)」予告

映画館で鑑賞。

先月は4回に渡り「大澁澤龍彦まつり」を勝手に行うなど、眼鏡堂のSAN値*1がゼロゲージ。そのくらい楽しみにしていたのでした。

ちなみに、劇場内はティーンなヤングがわんさか。しかも女子率高め。

まあ、作品はラノベでマンガでアニメだからなあ(遠い目)

シェイプ・オブ・ウォーター』のときは場内ガラガラだったのになあ(遠い目)

ティーンな女子が多めなせいか、チュロスとかキャラメルポップコーンとか、劇場内にスウィーツ臭が充満。キャッキャウフフというアニメ女子トークが響き渡り、眼鏡堂はそんなアウェー感と抗うのでした。

以上、現場レポートおわり。

んでもって、あらすじは公式サイトを見ればいいじゃない。

 

何といっても劇場版の見どころは、オリジナルキャラクターとして登場する澁澤龍彦

その澁澤が今回の事件の中心にいるということで、眼鏡堂をはじめとした澁澤ファンがお布施を握りしめて映画館に押し寄せたことでしょう。

実際、澁澤は本作に於いて事件の中心人物であると同時に、黒幕的なキャラクター。

実人物としての澁澤とキャラクターとしての澁澤とがいい意味でシンクロ。

更に澁澤ファンにとってうれしいのが、場面の端々に彼の著作を想起させるものがチラホラみえること。

 

というわけで、こっから先はネタバレを含みます。

 

 異能力者の異能を分離して相対し戦わせ、異能者の死後その異能を宝石として収集する

というのが澁澤の異能”ドラコニア・ルーム”。

中島敦をはじめとする武装探偵社やポートマフィアたちも澁澤の術中にはまります。

より強力な異能を持つものほど、逆にピンチに陥るという逆転の発想が手に汗握る展開で、すごく楽しめました。

半面、すすんで澁澤に近づいていった太宰治やフョードル・Dの理由がイマイチ眼鏡堂にはピンとこず、特にフョードルが何をしたかったのか結局わからずじまいでした。

面白い作品ではあったけど、眼鏡堂的にはどうしても受け入れがたい超マイナス要素が一つだけ。

敦、鏡花、芥川による澁澤とのラストバトル。

その前のシーンで集められた異能が特異点化して巨大なドラゴンの形をとって暴れるシーンも、現れたのが中華風のドラゴン。まるでドラゴンボールのシェンロンなのも減点評価。せめて西洋風のドラゴンにしてもらいたかった……。

ただこれも澁澤ファンへの仕打ちとしてはマシなほう。

ラストバトルはほんとに直視に堪えないシーンでした。

出来は抜群だし、迫力もある。

でも、澁澤龍彦という作家に思い入れがあればあるほど、格闘戦を演じる澁澤龍彦という存在に愕然とします。一番縁遠いもの同士を組み合わせても得することってないんだなあ、とぼんやり考えたのでした。

っていうか、こういう展開であるのなら澁澤でなくて三島由紀夫あたりの方がぴったりなのかも。いまさらそんなことを言っても仕方ないんですが。

ドラゴンボール的なバトルアニメなのは知ってたけど、そこに澁澤さんを絡めなくてもねえ……。

 

偶然なのか、それとも狙ったのか、作品の端々に澁澤の著作にちなんだシーンがチラホラ。澁澤がフョードルにナイフで首を斬られて絶命するシーン。これがファンにとっては『都内ノ病院デ幻覚ヲ見タルコト』や『高丘親王航海記』。

気の利いたシーンとも思うけど、澁澤さんの咽頭がんについては結構痛々しいエピソードとして語られることが多いので、ちょっと心がざわっとしました。

あとせっかく頭蓋骨(というかドクロ)が出てくるのだから、それを澁澤に持たせる、というド直球なファンサービスが欲しかったなあ、と個人的に思いました。

『イメージ図』

f:id:megane-do:20180424052653j:plain

 

90分の作品の中であのラストバトルさえ除けば、眼鏡堂はすごく楽しめました。

たぶん、リアルタイムで見てる若い子たちは澁澤龍彦への思い入れがないだろうから、純粋に「面白い~」っていう風に感じてるのかな?と思うのです。

別にばかにしているわけではなくて。まあ、眼鏡堂が求めるものがこの作品の押しの部分と齟齬があったんだろうなあ。

結構、複雑な心境。

楽しみにしてただけにねえ……。

かといって、全く面白くないわけではなかっただけに、心中複雑なのです。

大体において、声の出演が中井和哉っていう段階で、「ずいぶん戦闘的な澁澤龍彦だな(嫌な予感)」と思ったわけで。

 

【追記】

本作公開に合わせ、河出書房が本気を出し始めた件。

 

*1:クトゥルー神話TRPGにおける特有のシステム。ゲーム中で宇宙的な恐怖に遭遇するたびにダイスを振り、成否に従って値を減少させる。値が0に近づくほど、キャラクターの正気が失われていることになる。