眼鏡堂書店

積み上げられた未読本の消化と、ホラー映画100本ノックを目指すブログ。不定期更新のゆるゆるです。

青春デンデケデケデケ/芦原すなお

青春デンデケデケデケ (河出文庫―BUNGEI Collection)

青春デンデケデケデケ (河出文庫―BUNGEI Collection)

 

芦原すなおさんの直木賞受賞作。

あらすじは、

一九六五年の春休み、ラジオから流れるベンチャーズのギターがぼくを変えた。”やーっぱりロックでなけらいかん ”
――四国の田舎町の高校生たちがくりひろげる捧腹絶倒、元気印の、ロックと友情と恋の物語。 

 

個人的な趣向なのですが、眼鏡堂は本作のような”青春モノ”は好きではありません。なおかつ、暗黒の学生生活を送ったので”学園モノ”は大嫌いなのです。

そういう意味では、本作『青春デンデケデケデケ』はド直球に、眼鏡堂の大嫌いが凝縮された作品と言っても過言ではない。にもかかわらず、そんな大嫌いなシロモノに手を出したかというと、それは単純に面白いと感じたから。眼鏡堂は非常に奇特な人間なので、大嫌いであったとしてもそこに引き付けられる何かがあれば読んでみよう&見てみようという気になるのです。

ちなみに、引き付けられた一番の要因は、この作品の核となるのが高校生のバンド活動。上に書いたとおり、眼鏡堂は暗黒の学生生活を送っていたので、高校時代はバンドとは完全に無縁。当時、あーいうのはクラスのイケてる人たちがやるもんだ、という確信を抱いていたのでした。

でも、本作を読んでいてそういった鬱屈した気分が出てこないのは、登場人物たちから”イケてない”匂いがプンプンするところ。本当に等身大の高校生というか、どこにでもいそうな彼ら(彼女ら)が織り成す、これまたどこにでもあるお話が進められていくさまが、ぐいぐいと物語の中に引き込んでくれるのです。

併せて、眼鏡堂的に好印象なのが青春モノ&学園モノで必要不可欠(とされている)恋愛要素が非常に希薄なところ。主人公のちっくんの初デートのまあ不器用なことといったら……(笑)ほかのバンドメンバーの失恋話があるけど、それもあっさり風味。

 

とにかく、主となるのはバンドの話。

ベンチャーズにはじまり、リトル・リチャード、チャック・ベリーなどなど。

ギターを弾けるようになり、バンドメンバーを集め、バンドの練習場所を確保し、夏休みのバンド合宿、楽器を買うためのバイト、そして初ライブ……。

バンドをやったことのある人なら、もう鉄板のあるあるネタが目白押し。

読んでる間中、なんか顔がにやけてしまいます。そのくらい楽しい。

もっとも、語りに一工夫あって、主人公がこの当時のことを回想して書いている、という体なので、作中での展開は基本的に過去。そしてその過去の出来事の間に、今現在の話が絶妙なさじ加減で隠し味よろしく挟み込まれます。この隠し味というのが、これまた絶妙な分量なので、読んでいてうるさく感じることがありません。

読了した人はわかると思いますが、この今現在の話というのが少々クセモノ。

明確な言及はないのですが、眼鏡堂は今現在のちっくんたちがもうバンドをしていないんだな、という風に感じました。

何はともあれ、一種のノスタルジーによって紡がれた、楽しい楽しい青春小説。

ちょうどいい具合のバンド男子のボンクラ加減が漂ってくるのも好感触。

ただ、60年代が舞台なのでさすがに今現在の目で見ると結構キツいところがちらほら。ホントは高校生が読めばいいんだろうけど、本作に登場する楽曲が現役高校生にどれだけ響くのか大きく疑問。今はバンドブームなんてものもないし、高校生でバンド組んでる、っていうのもとんと聞かないし。大体、ギブソン社の経営破綻が世界を震撼させたけど、そのほかの楽器メーカー、例えばフェンダーYAMAHAといったメーカーも倒産こそしてないけど、非常に厳しい立場にあります。

理由は、単純に楽器が売れないから。

ギターにせよベースやドラムにせよ、高価なうえに演奏できるようになるまでには努力も必要だし、時間もかかる。それが現役高校生には響かないのか、それともほかに娯楽がたくさんあるからか、眼鏡堂が高校生だった時分はギターやベースを背負った高校生が結構いたもんだけど、今はぜんぜん見ないねえ……(遠い目)

今、バンドをやってんのって中高年ばっかだ、っていうもっぱらのウワサ。まあ、中高年はお金があるからねえ……(遠い目)

誰か、眼鏡堂に買ってくんねえかなぁ。

エデンのベースアンプ。

EDEN ベースアンプコンボ E Series 180W EC210

EDEN ベースアンプコンボ E Series 180W EC210

 

こういう邪気のないノスタルジーも悪くないなあ、と思った次第。

とはいえ、やっぱ青春モノと学園モノは眼鏡堂の敵だなあという結論を再確認したのでした。以上、おわり。

 

追記 その1】

ノスタルジックな雰囲気といえば案の定、大林宣彦監督が映画化した模様。

 

追記 その2】 

いずれ時間を見つけて、ギブソンの倒産についての私見をブログに書きたいと思う。

自分で自分の首を絞めた結果というか、ギブソンのギターをトレードマークにしていたプレイヤーたち、中でもフライングVを体の一部のように愛用していたマイケル・シェンカー、大のレスポール狂として知られるザック・ワイルドが、それぞれ全く別のメーカーと使用提携(エンドース契約)を結びだしたあたりから、個人的には「ギブソン、ヤバいんじゃ?」と思ったり。

特に、その当時のクラフトマンの行ったレスポールの改良(ヒールカット加工とコンター加工)がザック・ワイルドを激怒させたこともあったしねえ。ちなみにザックの話ではそのクラフトマンはギブソンをクビになったとか。


【米国】有名人が愛用した、ギターのギブソンが、破綻 !!!