眼鏡堂書店

積み上げられた未読本の消化と、ホラー映画100本ノックを目指すブログ。不定期更新のゆるゆるです。

ルドルフとイッパイアッテナ/斉藤洋

ルドルフとイッパイアッテナ

ルドルフとイッパイアッテナ

 

斉藤洋さんによる児童文学の名作。

あらすじは、

ひょんなことから、長距離トラックで東京にきてしまった黒猫ルドルフ。土地のボス猫と出会い、このイッパイアッテナとの愉快なノラ猫生活がはじまった……。

 

本作は、それこそ児童文学の名作&傑作にして、超がつくくらいのスタンダード。

眼鏡堂も小学校時代、学校の図書室で何度も何度も読んだ本です。

子供のころに夢中になったものは、大人になってもう一度見てみると 、えてしてがっかりしてしまうもの。某古書チェーンでお安く発見して「なつかし~」と思って購入したわけですが、「どうせがっかりするだろうなぁ~」と思ってページをめくったわけですが……。

懐古趣味を抜きにして、やっぱりすっごく面白い。

当時この作品に引き込まれた最大の理由でありギミックの部分、

ルドルフがゴミ捨て場のインクを使い自分で書いたものを、斉藤が肩代わりして出版した

というものも、まったく色あせない。それどころか、大人になってそれなりに冷めた視線になってしまった現在でも、このギミックには何とも言えないぴかぴかしたものが感じられました。

 

眼鏡堂は、児童文学というジャンルには二つのよろこびがあると思っています。

ひとつは、文字通りの児童がその作品の世界観や物語の中に引き込まれ、想像の翼を広げるよろこび。いわば、その作品のターゲットとなる年齢なり年代でタイムリーに楽しむ喜び、と言い換えてもいいかもしれません。

そして、もうひとつは、かつて読んでいた作品を大人になってからもう一度読み返すよろこび。当時読んできたときの感覚なり感想を、大人になった今、俯瞰して眺めるような。あるいはもう一度その当時に戻って楽しむような。そんなよろこびです。

猫の視点で語られる物語のみずみずしいことといったら。人間にとってはただの日常が、ちょっと視点を変えてみただけでこんなにも違って見えるのか、と子供の頃に読んでいた時のワクワク感がよみがえってきました。

 

昔は、主人公のルドルフの目線で作品を読んでいたけれど、今こうして読んでみると、不思議とイッパイアッテナの目線で物語を読んでいます。果たして、これは成長なのか、それとも単に年をくっただけなのかヤレヤレ。

ともかく、右も左もわからない子供のルドルフに対して、まるで師匠のようにいろんなことを教えるイッパイアッテナの頼もしいことといったら……。

「ことばを乱暴にしたり、下品にしたりするとな、しぜんに心も乱暴になったり下品になってしまうもんだ。」

「ちょっとできるようになると、それをつかって、できないやつをばかにするなんて、最低のねこのすることだ。教養のあるねこのやるこっちゃねえ。」

野良猫よりも下品で乱暴、無教養な人間が幅を利かせる世の中だから、一層肝に銘じていかなければと思いました。ホント、心にグサッとくるまっすぐな言葉だ。以上、おわり。

 

【追記】

本作『ルドルフとイッパイアッテナ』は映画になった模様。

それがコレ。


映画『ルドルフとイッパイアッテナ』予告編

 

でも、昔NHK教育の『母と子のテレビ絵本』の方がしっくりくる。

ま、タイムリーに見てたからだけど。

ともあれ、毒蝮三太夫最強。


ルドルフとイッパイアッテナ①