眼鏡堂書店

積み上げられた未読本の消化と、ホラー映画100本ノックを目指すブログ。不定期更新のゆるゆるです。

エクスペンダブルズ2

エクスペンダブルズ2 [DVD]
 

シルベスター・スタローンを筆頭に、アーノルド・シュワルツェネッガーブルース・ウィリスなど往年のアクションスターがそろい踏みした夢の映画『エクスペンダブルズ』シリーズの2作目。

スタローン率いるエクスペンダブルズ(消耗品軍団)が、ジャン=クロード・ヴァン・ダム率いる犯罪組織サングと死闘を展開する、というストーリー。

正直、いるんだかいないんだかわからないくらい影の薄い本作の監督は、『コン・エアー』などを手掛けたサイモン・ウエスト。

 

2018年時点で3作が作られている『エクスペンダブルズ』シリーズ。

往年のスターがそろい踏みするアクション巨編の顔見世興行としての1。

若手が多数参戦したことによっていよいよわけがわからなくなったスケール感がぐっとアップした3。

その間にありながら、善良な一般市民の皆様からは「ストーリーがない」「内容が皆無」などとボロクソに叩かれる2ですが、眼鏡堂は本作こそシリーズ最高傑作だと確信しています。

 

見どころはいくつかありますが、まずひとつはスタローン、シュワルツェネッガー、ウィリスのそろい踏み。

1でも三人いたじゃないか、といわれるかもしれませんが、あれは単なるカメオ出演。特にシュワルツェネッガーは当時カリフォルニア州知事だったこともあり、「あいつは大統領にでもなる気なんだよ」というセリフでもって劇場内がドッカンドッカンの大うけだったのですが、月日は流れ、知事をやめ、嫁に捨てられ、もはや映画業界に復帰して小銭を稼ぐしかなくなったシュワルツェネッガーが、これまた家庭が火の車のブルース・ウィリスとともにマシンガン片手にドッカンドッカン暴れまわるというのは、控えめに言っても実に素晴らしいものがあります。

二つ目の見どころとしては、なんといってもスタローンVSヴァンダムという、80年代アクション映画全盛期にありそうでなかった夢の対決。

前作でも、WWEチャンピオンのスティーブ・オースティンとUWCのチャンピオンであるランディ・クゥートゥアとの一騎打ちがあり、ジャイアント馬場アントニオ猪木のような妄想の中でしか存在しない夢の対決にボンクラ男子はお祭り騒ぎだったわけですが、今回はスタローン対ヴァンダム。しかもヴァンダムは数少ない悪役サイドでの出演。もっとも、ヴァンダムは前作でも出演をオファーされていたにも関わらず、「役に深みがない」という意味不明な理由で不参加。しかし、このシリーズが予想外にお金になるのを見て再度参戦を希望し、夢の対決に至る、という。

合わせて、本作あたりからヴァンダムへの再評価が高まり、今では芝居もできるアクションスターとして再び脚光を浴びており、祖国ベルギーでは銅像も建てられたとか。

90年代は「ベルギーの恥」とまで言われた男の復活に目頭が熱くなる思いです。

復活、といえば最大の見どころは何といっても伝説の男チャック・ノリスの出演。

『ドラゴンへの道』でブルース・リーと死闘を繰り広げたあの伝説の男が復活するというニュースは世界中のアクション映画ファンを驚愕させました。……まあ、俳優業はほぼ引退してたみたいなもんだったしね。

そんなチャック・ノリスへのリスペクトが非常に素晴らしく、彼の役名はブッカー。これはチャック・ノリスが初めて主演を張った映画『暗黒殺人指令』での役名。そのうえあだ名の「一匹狼(ローンウルフ)」は、これまた言うまでもなく『テキサスSWAT』でのチャックが演じたマクウェイドのあだ名から。どこからともなくあらわれ、悪党どもを皆殺しにした挙句、やはりどこへともなく去っていく、というまるで『デルタフォース』か『地獄のヒーロー』かというまさにチャック・ノリスなことを2回やるという、実に素晴らしい濃密なチャック・ノリス愛。

しかも劇中ではチャック・ノリスがチャックノリスファクトを口にする、という虚実の境が大変なことになるうちわネタまで飛び出す始末。


『エクスペンダブルズ2』木曜洋画劇場風予告第三弾 チャック・ノリス編

 

そうそう。

とにかくこの映画、うちわネタと自虐ネタのオンパレード。

普通のオールスターアクション映画だと思ってみると、リテラシーの低い観客は間違いなくやけどするから要注意です。出演者の過去作を見ていれば見ているほど、あるいは出演者の私生活やバックグラウンドを知っていれば知っているほど、あまりにしょうもないうちわネタ&自虐ネタに苦笑が止まりません。

特に本作では何かというとガンナー・ヤンセン役のドルフ・ラングレンをいじるネタが盛りだくさん。劇中で、「本当に自分は頭がいいのか確かめたい」という理由からマサチューセッツ工科大学フルブライト奨学生で入学し科学博士の修士号を獲得するも、バーの女に惚れてしまって科学の道からドロップアウト。そのうえそのバーの女にも降られてしまった、というのが語られるシーンがあるのですが、実はこれ、ギャグでもなんでもなくドルフ・ラングレン自身の映画業界入りのいきさつをただしゃべってるだけ、という。超天才の上に、極真空手の黒帯でヨーロッパチャンピオン、『人間核弾頭』とまで呼ばれたドルさんが未だにB級アクション映画でくすぶっている現実はまさに世界の不思議というほかありません。

 

たしかにストーリーや内容はほとんどない映画ではありますが、シリーズ全体を通してこれほどまで過剰なお祭り感にあふれた映画もないと思うのです。次作の3が眼鏡堂的にかなりの失速をかんじたからこそ、余計にそう思うのかもしれませんが。

ともあれ、本作で一番笑うのは、ステイサムとスタローンとの一番最後のやり取り。

ステイサム「友人としてアンタにアドバイスがある」

スタローン「なんだ?」

ステイサム「アンタ、ボクシング習ったほうがいいぞ」

 

あと、なにかとシュワルツェネッガーを『トータル・リコール』でいじろうとする製作者の姿勢に失笑を禁じ得ないいい映画だと思いました。以上、おわり。