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積み上げられた未読本の消化と、ホラー映画100本ノックを目指すブログ。不定期更新のゆるゆるです。

八仙飯店之人肉饅頭

八仙飯店之人肉饅頭
 

季節は秋。秋といえば、食欲の秋!

というわけで、食欲の秋にふさわしい映画で楽しもう!というのが今回の企画。

題して、”秋だ!モグモグ !人喰い映画祭り”!!

全三回でお送りしようというこの人喰い映画祭り。

その栄えある第1回目の作品は、皆さんお楽しみ!

監督ハーマン・ヤウ&主演アンソニー・ウォンという黄金コンビでお送りする実録猟奇殺人映画『八仙飯店之人肉饅頭』です!

ざっとしたストーリーは、ウィキペディアを見ればいいじゃない(投げやり)

 

本作はいわゆる三級片の中でも屈指の人気を誇るカルト映画。

今現在はあまりレンタル店には並ばないらしいのですが、かつてのレンタルビデオブームの際、油断して借りてがっつりトラウマを刻み込まれた人もいるとかいないとか。そんくらいに強力な何かを秘めた作品です。

ちなみに、この”三級片”とは何かというと、いわゆる成人指定の映画のこと。

例えば、日本でも大衆娯楽映画の人気に陰りがさし、大作映画も当たらなくなってきた時代に、東映の異常性愛路線や日活のロマンポルノなど、低予算の成人指定映画がニッチな人気を獲得しただけでなく、カルト的な人気を誇る映画がいくつも誕生しました。

それは香港映画界でも例外ではなく、この『八仙飯店之人肉饅頭』もそんな一本。

やりすぎなくらいに残酷描写や暴力描写を重ねたホラーもの、或いは成人指定であることを逆に強みにしたエロティック映画など、香港映画の雑多性がこのジャンルには色濃く表れています。

また、このジャンルは今日も活躍する多くのスターを生み出したことでも知られていて、本作の主演を務めたアンソニー・ウォンを筆頭に、サイモン・ヤム、ロレッタ・リー、スー・チー、はてはビビアン・スーもこのジャンルの恩恵にあずかった一人です。

 

三級片の話はこれくらいにして、『八仙飯店之人肉饅頭』に話を戻します。

この映画は85年に起きた八仙飯店一家殺害事件を下敷きにして作られた、いわゆる実録映画。今回鑑賞して感じたのは、実録映画特有の生々しさ。

例えば、埼玉愛犬家連続殺人事件をもとにした『冷たい熱帯魚』であったり、上申書殺人事件をもとにした『凶悪』であったり、そういった生々しくて後味が非常に悪い作品群を思い出しました。

加えて、主演のアンソニー・ウォンの面構えであったり、異常極まりない雰囲気がこの作品をどんどんと混とんとした地獄のような世界へといざなってくれます。

実際、この主人公の鬼畜っぷりというか極悪非道ぶりは筆舌に尽くしがたく、年端もいかない子供(女児を含む)を次々に惨殺、その子供たちの両親も惨殺、挙句の果ての死体を隠滅するために解体して肉まんの具にして売りさばくという……。

なお、その肉まんがおいしいと評判になり店が繁盛する、というしょーもないフッテージも含めて最高というほかありません。

併せて、本作の異常性を強調するのが警察の連中。無能警察というか、この警察たちのパートが完全にコメディ路線。しかも、実にしょーもないコメディ&能天気なBGMなので殺人パートとの落差が天と地ほどもあって頭がくらくらしてきます。

ただ、真骨頂はこの無能警察が主人公が怪しいと目星をつけて罪を自白させようとするあたりからラストまでのシークエンス。

徹底的に暴力を加えて自白させようとするが失敗。それをきっかけにより陰惨かつ過度に暴力的なやり方がヒートアップ。最終的には覚せい剤を打ったうえに三日間一睡もさせず精神的に追い込む&生理食塩水を皮下注射し一睡もさせないようにする(※背中への皮下注射によって水ぶくれができ、それが圧迫されることで激痛が生じる。つまり横になる事もできない状態に追い込む)。

それによって追い込まれた主人公は、八仙飯店を手に入れるに至った殺人の様子を自白。その後、隠し持ったプルトップで手首を切って自殺し、話は幕を下ろします。

まあ、実際の八仙飯店一家殺害事件も大体同じようなストーリーラインとはいえ、異常な映画であることは疑いようのない事実。

まあ、万人にお勧めできるような代物では決してありませんが、露悪的な見世物趣味映画としては実に素晴らしい完成度。『冷たい熱帯魚』ほどではありませんが、わりとじっくり死体の解体作業と見せてくれるうえに、人肉饅頭づくりを小器用に行うアンソニー・ウォンに眼鏡堂は若干萌えたものでした。あと、余談ですが本作でアンソニー・ウォンは香港のアカデミー賞と呼ばれる電影金像賞で主演男優賞を獲得。詰めかけた記者から「今の心境は?」と質問され「うれしいわけねーだろうが!!」と激怒したのは有名な話。というわけで、以上、おわり。

 

【追記 その1】

アンソニー・ウォンハーマン・ヤウのコンビは以後も、『エボラ・シンドローム 悪魔の殺人ウィルス』や『タクシーハンター』などの超暴力的&猟奇的な三級片を作り上げます。んでもって、このコンビの最新作は、ブルース・リーの師匠である葉問(イップ・マン)の映画『イップ・マン 最終章』という万人向けの一般映画。

ちなみにこの『イップ・マン 最終章』では『インファナル・アフェア』の代理戦争ともいえるアンソニー・ウォンエリック・ツァンクンフー対決が拝めます。

 

【追記 その2】

今回引用した作品群はコチラ。

冷たい熱帯魚

冷たい熱帯魚

 
凶悪

凶悪

 
タクシーハンター

タクシーハンター

 
イップ・マン 最終章 [Blu-ray]

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