眼鏡堂書店

積み上げられた未読本の消化と、ホラー映画100本ノックを目指すブログ。不定期更新のゆるゆるです。

ウルトラマラソンマン/ディーン・カーナゼス

ウルトラマラソン マン

ウルトラマラソン マン

 

さて。
最近何かとマラソンが話題になっています。2020年に行われる東京オリンピックにおいてマラソン競技の会場が東京から札幌へと変更されたのは記憶に新しいところ。
その理由がドーハマラソンでのリタイヤが続出した件だとか。
ちなみに、ドーハマラソンの環境は、気温32℃で湿度71%。東京での予想気温は27.5℃。そんな環境でマラソンなんてとんでもない、だそうですが、この『ウルトラマラソンマン』を読んだ眼鏡堂からすれば、「何を言っているのだ?オリンピックのマラソン競技は幼稚園の運動会か?」ってな具合。
なにしろ、この本の著者であるディーン・カーナゼスさんは『バッドウォーターマラソン』で気温50度以上の中、216㎞を走破。また『南極マラソン』では文字通りー40℃の南極大陸でフルマラソンを走破するなど、過酷な環境でもリタイアせずに完走しているんです。
しかもこの人、プロのランナーでは全くなく、健康食品&用品会社の社長さん。サンフランシスコ在住で奥さんと二人の子供がいます。

 

そんな常軌を逸した『ウルトラマラソン』を始めたきっかけはについて、ちょっと段階を追ってご紹介しようと思います。

元々、走ることが好きだったディーン少年は当然のように陸上競技、とくに長距離そうの世界へと飛び込んでいきます。コーチからの「最後はハートで走るんだ」というアドバイスとともに走り終えた後の達成感を求めて競技を続けていくのですが、これまでのクロスカントリーレースからトラックレースへと転向したとき、トラックレースのコーチとレースのあり方で対立してしまい、競技をやめてしまいます。

これが彼の大きな挫折。これによってディーンさんは13年間まったく走ることはありませんでした。

この挫折によって荒れた生活を送っていたディーンさんの身に悲劇が訪れます。

それは妹の突然の死。

彼のよき理解者であった妹がある日突然この世のものではなくなってしまう、という出来事を前にディーンさんは思いました。

「人生を無駄に生きていないだろうか?」と。

 

月日は流れ、ディーンさんは30歳になりました。

仕事の成功と出世、結婚。新築の家も手に入れたし、新車のプリウスもある。

でも、心は一向に満たされません。

生きている実感を得るために、彼は30歳の誕生日を迎えたその日の夜、庭仕事で使っているスニーカーを履き、走り出したのでした。

夜通し、徹底的に、目的もなく。……いや、目的はありました。「自分は人生を無駄に生きていないだろうか?」という問いへの答えを探すために。

 

ウルトラマラソンへの挑戦と挫折を通して、ディーンさんは二つの問いを抱えます。

ひとつは「人生を無駄に生きていないだろうか?」

そしてもうひとつは「なぜ自分は走るのか?」

 

本書は最後に、この二つの問いへの答えを見つけることで締めくくられます。

その答えに胸が熱くなるとともに、318kmをたった一人で46時間17分で走破するくだりはただただ驚かされるばかり。しかもこの人、レースが終わった次の日、ごく普通に会社に行くんです。筋肉痛でボロボロになりながら。

とにかく、「人生を無駄に生きていないだろうか?」「なぜ自分は走るのか?」という二つの問いへの答え、それをこの本を読んで見つけてほしいと思います。

以上、おわり。